第4話 母の日のケーキ
昨日は母の日だった。毎年長男は母の日にケーキを買って来る。感謝の気持ちをあらわす、彼の良いところだ。
長男は友達と夕食を食べに出かけて行った。この日の夕食は次男とふたりで、妻はいつもだが一緒に食べないか遅れて食卓につく。食べるのが早い次男が食事を終えると、キッチンで妻が次男に長男からもらったケーキを食べるように勧めていた。
僕も食事を終え、皿をキッチンの流しに持って行くとケーキの詰め合わせの箱が開けたまま置いてあったので、「このケーキ食べていいの?」と妻に聞くと、「私が買って来たじゃないで知らん!」と答えられた。「あれっさっき次男には勧めていたのに僕は食べちゃいかんの?」と聞くとイライラした声で、「じゃあ、いいでしょ!」と言われた。まったく、なんなんだよそれ。
また別の日、コロナの影響もあって忙しくないため、その日は早めに切り上げて夜10時頃帰宅すると、妻が居間でひとり録画してあるドラマを観ていた。
自分で食事の用意をしようとすると妻がキッチンに来て味噌汁を温めて用意してくれようとしている。うわっと思い、少し距離を置いて台所のテーブルに座って待っていると、キッチンから「めんどくさっ」というひとり言が聞こえて来た。それならしてくれなくていいのに。仕事の疲れが倍増した。
無言でおかずと味噌汁をテーブルにトン、トンッと置くと、また居間で続きのドラマを観出した。いつものことだが、ひと言も会話がない。嫌になる。
食事を終え、居間にいる犬のトイレ掃除やご飯をあげようとすると、妻はさっとテレビを切り、別の部屋へ消えて行った。
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