夜空の星

 歓迎会が終わったあと風呂入っていた。

「ふぅ。まさかあんなことが起きるなんて……」

 みんなで騒いでいたら酔った愛菜先生が乱入してきて服を脱ごうとしだして七海と茜が必死に止めに入った。

 けれど愛菜先生は服を脱いでブラジャーになり男性人は追い出されてお開きになってしまった。

「でも楽しかったな」

 初日からいい思い出だなと窓の方を見ていると少し明るい。夜も快晴で星が光っているのかもしれない。

「外に出て空でも描いてみようかな」

 夕夜は部屋に戻りスケッチブックを持って外を出た。

「寒い……」

 4月後半とはいえまだ寒さが冷え込む。

 空を見上げると星が綺麗に見える。

 普段夜を見上げることもないから新鮮だな。

「飛べるようになったら夜も飛んでみたいな……」

 すると誰か森の方に進んでいった。

「あれは?」

 夕夜は急いで跡を追う。

 道は整備されてなく木の根っことか草が生い茂っていた。

 道無き道を歩いてると一ヶ所だけ広い所に出た。

「はぁ……はぁ……」

 暗い場所から明るくなるとそこは見渡す限り花が満開だった。

「あれ? 夕夜くん」

 声をかけてきたのはソラだ。やっぱりあの人影はソラに間違いなかった。

「どうしてここに居るの?」

「あ……いや。三日月さんがこの森に入っていくのを見えたので」

「あれ? そうだったんだ。まさか夕夜くんに見つかるなんて」

 ソラは「あはは」と笑っていた。

「それで三日月はどうして森に入ったんですか?」

「この花を見ようと思って。不安な時いつもここに来るから……」

 冷たい夜風が吹き少しだけ花びらを連れさっていき。ソラの笑顔がなくなった。

「小さい時、病気で体が弱かったんだ。それで皆んなから嫌われて避けられていたから。今日みたいな楽しい日があってもまた嫌われるんじゃないかなって不安でここに来ちゃった」

「避けられる……」

「だから筋肉を沢山つけて鳥みたいに飛びたいと思ってこの学校に入ったんだ」

「そうだったんですか……」

 体が弱かった言うのも驚いたけれど、避けられてたと言うのは気持ちが分かった。

「同じですね……。自分もずっと小さい頃空を見上げてそんな奴とみなされて避けられていました。空を描けばみんな好きになってくれるかもしれないと今まで描いてたんです」

「夕夜くん……」

「三日月さんが飛んで姿を見て自分も飛べばもっと理想とする絵が描けるかもしれないと思ってこの学校に入った。それが理由ですかね」

 ソラは小さく笑った。

「私たち似たもの同士かもね」

「そうかもしれないですね」

「ふふっ」「はははっ」

二人して笑いあった。

「そういえば私ソラって呼び捨てにして構わないよ。さっきから夕夜くんて呼んでいるし」

「わかりました」

 ソラは立ち上がった。

「喋ったらスッキリした。私、先に帰るね」

「はい。わかりました」

 ソラは手を振ってヒヨコ荘に帰っていった。

 今夜の星は長く見れて観測出来そうだな……。

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