夕焼けに輝く空

飛んでいた女の子を追いかけたけど見失ってしまった。

「確かこの辺に消えたはずだけど……」

 辺りを見渡すと河原で座っていたさっきの子を見つけた。

「いた!」

 夕夜はその子に近づき頭を下げた。

「俺を上空まで連れてってください!」

「え? なに急に」

 少女は不思議そうにこちらを見ていた。

 あ、そうだった。

 鞄から空を模写したのを少女に渡した。

「空を描くのが好きなんだ」

 一枚一枚丁寧に見てくれてた。

「上手いね。君」

「ありがとうございます。それで上空から見た景色を見て描きたいんです。俺を空に連れてって下さい」

「うーん空にか……」

 少女は腕を組んで唸っていた。

「また、あーちゃんに怒られるかな」

「あーちゃん?」

「うん。空を見たいか……」

 この反応は無理っぽい感じだ。仕方がない帰ろう。

「無理そうなら––」

「まあ、いいや怒られても。あーちゃんなら許してくれる、くれる」

「え……?」

 意外とポジティブだった。

 胸の所のデザインに触ると背中からピンク色の羽が突然に現れた。

「綺麗だ……」

 羽を広げた瞬間河原の水辺が太陽光で反射して少女の逆光が綺麗な一枚の絵になっていた。

「え? えへへありがとう。よし。空まで連れてってあげるね」

 彼女は夕夜を抱えてお姫様抱っこをしたのだった。

 見た目と裏腹に意外と力があるな。

「それじゃあ捕まってて」

「え、は––––」

 次の返事をしようと思った瞬間上の方に体が引っ張た。

「うおおおおおおお!」

 そしてあっと言う間に上空に到着した。

「はい、お待たせ。上からまた空の景色はどう?」

 その場を見てみると太陽がオレンジ色に輝き出し町は小さいつもからは見れない風景に圧倒されてしまった。

「はい……とても綺麗です」

 言葉にならないとはこの事だなと初めて実感した。

 そして地上に降ろさせてお別れを言い家に帰るならその場で見た景色をひたすら描きたっけていた。「楽しい……!」

 こんなにワクワクとするのは今まで味わった事ない。

 色も塗り終わり終わった頃はもう朝を超えていた。

「もう朝か……」

 朝日に輝き出した空は少しだけあの夕日に似ていた。

 夕夜は顔を洗い部屋に戻るとスケッチブックがその場にあり中身を見直すと一枚の名刺が落ちた。

「なんだこれ?」

 そこに書かれていたのは空島学園と記載されていた。

 後ろを見てみると手書きで「空を自由に飛べるよ」とウサギの絵柄も一緒に描かれていた。

「あんな風に飛べたら面白い空が見れるかもしれない」

 夕夜はすぐさまその学校に申請したのだった。

 

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