飛行機曇

美術部と書かれた部室で一人。大空 夕夜おおぞら ゆうやはキャンバス向い真剣な眼差しで描いていた。

「……よし」

 筆を置くと扉がガラッと開き一人の女子生徒が入ってきた。

「やぁ夕夜くん。今日も頑張っているね」

「部長。お疲れ様です」

 夕夜の方に近づき絵をジロジロと見てきた。

「今日もまた空の風景を描いているんだ。飽きない?」

「はい。空には色んな形。朝昼晩によって見方ががらりと変わって面白いんです」

「へーなるほどー」

 空と雲について説明しても今日も部長は棒読みな返事をしている。

「それじゃあもう閉めるから終わりにしてね」

「わかりました」

 夕夜は画材を片付けて下校した。

 両手の親指と人差し指長方形にして空を見ていた。

「それにしても今日の空も良いな夕焼けで綺麗だ。これならいい絵になりそう」 

 すると一つ影が横断してきた。

「飛行機か? 飛行機雲もいい味を出すんだよな」

 飛行機がどんどん大きくなっていてこっちに近づいてきた。

「ん? なんだ」

 飛行機と思っていたら姿

「女の子!?」

 その子は夕夜をあっという間に過ぎ去っていた。

「なんだあれ?」

 ワクワクが止まらなかった。なぜなら制服の先にはピンク色に翼が見えて実際に飛んでいるように見えた。

 あれが本当に飛んでいるんだったら空を飛びたい! 

 夕夜は飛んで行った方に走るのだった。

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