深淵の戦い
『
魔法属性=雷
形状=纏
特殊=麻痺
魔力減衰=2
持続魔力=150
強化=1500
魔力=225000
速度=1500×2
馬鹿げた魔力消費。ここまでにもかなり魔法を使っている。魔力減衰の魔法式で継続魔力も半減しているが、それでも残りの魔力だと精々30分程か。この時間で倒しきれるだろうか。いや、やるしかないんだ。
「何それ! 真っ白! なんかバチバチしてるし! キャハハハ!」
そして次の瞬間にはまた別の場所で同じことが起こった。俺と少女が拳を交える度に森が消滅し、地図が書き換えられていく。
「スゴい! 本当にスゴいよ! 僕とまともに打ち合える人間なんて初めてだ! それにそのスピード! まるで
冗談じゃない。こっちは残りの魔力をつぎ込んで30分に限定された戦力だ。それを笑いながら当たり前のように拮抗してくる。俺にはそんな余裕は残っていないというのに。
「馬鹿言うな! もう限界いっぱいいっぱいだよ! そろそろ終わりにしませんかねぇ!?」
「キャハハハ!」
笑ってんじゃねえよ! 会話を交わしている間にも衝撃で森が消滅し、大地が抉れていく。森を荒野にでもするつもりか。
「どこ見てるの?」
「ぐぁ!」
振り返る暇もなく背中に強烈な一撃を撃ち込まれ、前方の木をなぎ倒しながら吹き飛んでいく。痛ぇ……マジで死ぬ……
「油断してるなー?」
また後ろか! 振り向き様に裏拳を放つ。運良く
ラッキーパンチだが、なんとか攻撃を当てることができた。手応えもあった。これなら少しは……ってなんだこの魔力!?
「今のはなかなか良かったよ! 僕も少しだけ真面目にやっても良さそうだね」
「ちょっと強めにいくよ!」
飛び上がったかと思うと、そのまま上空から空を蹴って急降下してくる
あの闇の身体強化は闇で形成されたあの腕が実体を持っているようだ。
俺は魔力を右腕に集中させて、白雷で加速した拳を振り抜くーーー轟と爆裂するかのような音が発生し、先ほどまでを遙かに越えた衝撃破が周囲を薙ぎ払う。
「ぐはっ!」
「キャハハハ!」
俺は衝撃で遠くに残っていた木々をなぎ倒して吹き飛んだ。王国と帝国の間にあるこの広大な森がこの戦いで二割は消し飛んだんじゃないだろうか。
これはちょっとまずいな。マジで強い。このままじゃ死ぬ。拳に魔力を集中させたせいで他がもうガタガタだ。
それにどこがちょっと強めだ。巨大なクレーターができてるじゃないか……この森人いないよな? あのクズならいざ知らず普通の人を知らずに殺してしまうなんてことは勘弁願いたい。
なんてゆっくり考える間もなく、
「……覚悟しろよ。次で終わりにしてやる」
「それは楽しみだねぇ。 ほら、見てよ! もう僕も君もボロボロだ! 期待してるよ?」
「ハッ! 言っとけ!」
お前全部掠り傷みたいなもんじゃねえか!
とにかくここをなんとか切り抜けなきゃ俺も母さんも終わりだ。出し惜しみする余裕は……ない。
「待ってくれるなんて余裕なんだな」
「違うよ。期待してるんだ」
言ってろ。後悔させてやるよ。
『
魔法属性=雷
形状=纏
魔力減衰=2
持続魔力=150
強化=2500
魔力=225000
速度=500×2
「キャハハハ! スゴい! 本当に君はスゴい! それは僕でもちょっと危険かも!」
「そのまま油断してろ。これでお前は俺を見失う。お前はただ俺の攻撃を受けるだけだ」
『
直前まで俺を捉えていた瞳が虚空を見つめる。この魔法を受けると対象の存在を捉えることができなくなる。今
腰だめに拳を引き絞る。残った魔力を全て右腕に集める。それでも足りないとばかりに生命力も注ぎ込む。そして限界まで圧縮した白雷を砲身に見立て、解き放つーーーーその瞬間、
轟、と爆裂する白雷に対し、全てを浸食せんとする闇が拮抗する。そして一瞬の静寂の後、極大の衝撃破が巻き起こる。その衝撃破は周囲の物質を根こそぎ消し飛ばし、巨大なクレーターを大地に穿っていた。
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