第21話 おまじない─オマジナイ─

みんなはおまじないって信じる?

私は結構信じてる。

友達の間でも流行ってるしね。

でもほとんどは偽物で、本物のおまじないを使える人なんてわずか。

本物のおまじないには犠牲が付きものだから。

能力がある人が自分の力を使って自分の範囲内で使う分にはそんなに問題はないんだって。

能力もなく、犠牲が必要ということを知らない人が自分の許容量を超えちゃったら、願いは叶っても。

死ぬんだって。


お兄ちゃん曰く。

おまじないなんて可愛い呼び方してるけど、漢字でかくと「お呪い」呪いのことさ。

黒魔術、召喚術とかあるけど、犠牲はつきもの。

どんな小さいことでも、ね。

願いは叶ったけど、身近で不幸なことはなかった?

恋は叶ったけど、ペットが死んでしまったとか。

嫌いな奴が怪我をして自分が1位になったけど、病気で歩けなくなったとか。


もう過ぎちゃったけど、2月14日はバレンタインデー。

日本では義理チョコとか友チョコとかあるけど、やはり好きな人がいる女の子としては本命チョコを渡す日よね。

友達に、おまじない……。お呪いが好きな女の子が、いい本を手に入れたって喜んでた。

血を使って好きな人に振り向いてもらうお呪い。

私も少し見せてもらったけど、結構本格的。

すぐにその子に奪い返されちゃったけど。


結果を先に言っちゃうね。

その子の恋は実ったよ。

お呪いのとおりに。

でも、その子は3日後の17日に亡くなったわ。交通事故で。

私はお葬式をぬけだすと、その子の部屋であの本を見た。

最後の1ページ。

何かがくっついて剥がれなくなってたの。

私は破かないようにそっとそのページを開いた。

そのページは、全体にドス黒く染まっていたわ。

おそらく、血。

所々読めなかったけど、総合してお呪いが成功したあとの犠牲について書かれてた。

やはり、お兄ちゃんが言ったとおり。

力のない人がやると命を落とすほどの呪い。

その回避の仕方がここには書いてあったのだけれど。

あの子はこのページは読まなかったみたい。

だから死んだの。


お呪い自体は難しいものじゃない。

簡単なものなら誰でもできるの。

でも、もっともっと、と欲しがって高度なお呪いをするとこうなるのよ。

みんなも気をつけて。

悪魔は今もどこかで、あなたを誘惑してるかもしれないわ。

お呪いを使わせて代償に魂をもらおうと、と。


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