第1話 出会いは唐突に

 「お兄、喉乾いたからジュース買ってきてよ」 


 「分かった。じゃあちょっとコンビニ行ってくるな」


 「行ってら」


 俺はチャリを漕いでコンビニへ行った。

 コンビニには沢山のジュースとお菓子が売っている。葵は炭酸が飲めないので大体はいつもオレンジジュースを飲んでいる。


 「今日はぶどうジュースにするか」


 俺は2Lの紙パックのぶどうジュースを買いコンビニをでた。すると駐車場で何やら言い争ってる声が聞こえた。見てみるとそこには一人の女の子を囲む四人の男たちがいた。

 

 「姉ちゃんよぉ、良いだろ?ちょっと俺らと一緒にカラオケに行くだけだろ?」


 「あなたたちとカラオケに行ったところで私にメリットが一つもないので行きません。」


 「メリットならあるぜ。俺たちがたくさん気持ちよくさせてやるからよ。良いから黙って付いて来いや!」


 さすがにこれは見ていられなかった。俺の体は自然に動いてしまい、男の手を捻り上げていた。


 「これ以上やるってなら俺が許さねえぞ」


 「なんだお前。舐めてんのか?こっちは四人いるんだぞ。お前が一人で倒せるような相手じゃねえんだよっ!!」


 男が急に殴りかかってきたが俺はそれを受け止める。実は俺は昔、空手をやっていたそれなりには喧嘩が強い、と思う。


 「そっちがその気なら俺だって本気でやるぜ」


 俺はまず一人を気絶させた。そのあと三人が殴りかかってきた。一発額にパンチを受けてしまったがそれ以外はやられず、そして三人を倒した。するとさっき絡まれていた女の子がおどおどした様子でこちらにやってきた。


 「だ、大丈夫ですか!?」


 「ああ、大丈夫だぞ」


 「そんなこと言って、おでこから血が出てるじゃないですか!ちょっと見せてください」


 と言われ、俺はおでこにかかった髪の毛を上にあげる。


 「えっ?」


 と不思議そうな声をあげた。


 「え?どうかしましたか?」


 「ううん、なんでもない」


 と言われた。そして俺は彼女が持っていたハンカチで血を拭いてもらった。


 「すみません、ハンカチを汚してしまって」


 「ううん。私は助けてもらったんだからこれぐらいはしないとね」


 「なんかすみません」


 「全然平気だよ!そうだ!助けてもらったから何かお礼しないと!何が良い?」


 と言われた。俺は正直特に困ってることはないのですぐには思いつかなっかた。


 「お礼はなんでも良いですか?」


 「あ、うん。あ、その、エッチなことはちょっと…」


 と頬を赤く染めて言った。いや、さすがにエッチなことはしないから。もし本当になんでもしてくれると言うなら、俺が求めるものは一つしかない。


 「あの、僕と友達になってくれませんか?正直に言うと高校で友達が一人しかいなくて…」


 「高校はどこに通ってるの?」


 「日ケ浜高校です」


 「あ、私と一緒だ!私は二年の伊藤有朱よ」


 「俺は一年の竜胆神楽です。よろしくお願いします!」


 「う、うん。その、友達ということで良いのよね」


 「え?あ、はい。今日友達ですね」


 「っ!?うん、今日から末長くよろしくお願いします」


 と言って、有朱は走ってどこかに行ってしまった。


 なんで走って行ってしまったんだ?


 

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