第78話 結果待ちに起きたちょっとした違和感?

採点が行われていく。


パフォーマンスまでの

各組の得点は

青組が対抗リレーで一位を

とったこともあり、一位の111点


次いでリレーでは三位だった

黄組が108点


最後に黄組と一点差で

赤組が107点


採点項目は繰り返しになるが、

50点満点で採用され、

看板、応援団、ダンス

それぞれのクオリティーに各10点

そしてそれらすべてが融合した一体感

観るものへの影響力などで20点


審査を行うのは

各組の代表者一名と校長。



各組での看板、応援、ダンスは

甲乙付けがたいほどの高いクオリティーであったことは

目の前で観ていた審査員たちからして言うまでもない。


高坂、八千草、美名城、校長が協議していく。


果たして審査結果はどうなるのか。



各組の生徒たちが

その結果を心待ちにしている時間

太郎はというと、


「あれ、タロちゃんがいない!!」

菊池が太郎がいないことに気付く。


「またか!!タロ氏は脱藩の常習犯だな。」



あたりを見回しても姿は見当たらない。



しかし、

八千草がある異変に気付く。



「あれ、あのテントで休んでる人って

業務の坂本さんだよね?」


「そう・・・だね

それがどうしたの?」


八千草の問いに答える菊池


「あ、いや、

いつからいたっけなって思って」


「まぁ、そう言われれば。

たぶんパフォーマンスの時からいたんじゃない。」


「そうだね」


八千草が言った業務の坂本さんとは

海満高校で庭の整備や

その他の雑務等をやってくれる

心優しいおばちゃんである。


そして八千草が感じた違和感


坂本さんは、基本的に庭の周辺や

事務室で仕事をしていて、

時折保健室で養護教諭の妹尾かおり先生と

立ち話をしている。


こういった表舞台に

堂々と現れるイメージが八千草にはなかった。

しかし、八千草もまだ一年。

違和感に対して確信を持てずにいる。


八千草の様子を見て

駿も違和感を感じていた。

麦わら帽子かぶったまま、

サングラスをしてテント下で休憩。


いつもこの炎天下で作業している坂本さんが

体育祭に限って・・・



遡ること数分前

青組のパフォーマンスが終わった直後に

八千草の違和感の正体が隠されていることとなる。




青組のパフォーマンスが終了し、

美名城は太郎を探した。


今のこの気持ち、感動を

太郎に伝えたかったのである。


「あ、タロちゃん!!・・・」


太郎は駿と話をしていた。


それを見て美名城は

後で落ち着いてからにしようと考える。


太郎と話し終わった後

駿はバンドメンバーで集まった際に

美名城から

「あとでタロちゃんに話があるからって伝えといてくれる」

と言伝を頼まれていた。


美名城は青組リーダーのため

審査の仕事も残っていたからだ。



駿は美名城の気持ちに気付いていた。

スタッフにしてまで側にいてほしかったんだ・・・

タロちゃんが音痴なのと楽器ができなかったのは致命的だったけど。




ということは、僕がバンドの集まりから

スタンドに戻るまでにタロちゃんはいなくなった。




八千草が違和感を抱いていた

テント下で座っている坂本さんを眺める。





「まさか・・・

いやいやいや、そんなまさか・・・・

・・・・あり得る?!」





駿が行き着いた考察はいかに。


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