第77話 みんなが自由に舞った三曲の音楽

パーフェクトブルーが見参したことによって

気付くと他の組の生徒たちが

スタンドから降りて、グラウンドの中へと入り込んでいた。


慌てて止めに入ろうとした教職員たちだったが、

真千先生がそれを片手で制止した。



「もう少し見守りましょう」



パーフェクトブルーの周りは

大勢の生徒たちで囲まれ、野外のライブ会場と化した。



「それじゃあ、みんな盛り上がっていくよー!!!」


それからアンコールも入り

三曲の歌をうたったパーフェクトブルー


一曲目はアップテンポなノリのいい音楽

二曲目は沖縄民謡を彷彿とさせる落ち着いた音楽

三曲目は各パートがボーカルに合わせながら自由に音を鳴らし響かせる音楽


音を楽しむと書いて音楽


それは演奏する者も聴く者も観ている者も

みんなが同じように感じることで成り立つもの。


パーフェクトブルーの音楽に合わせて

三曲分楽器を鳴らし、踊り舞って

表現し続けたダンスチームと応援チーム


ダンスチームでは八千草と菊池も

踊って場を盛り上げていく。


他の組の生徒たちもともに三曲分自由に舞い続けた。


グラウンドはとてつもない熱気に満ちていた。


太郎はというとアンプを載せた荷台を

グラウンド中央へと持ってくることに

残りの体力を半分以上消耗したため、

黒子に徹し、存在感もろとも姿を消していた。

まぁ、俺はいわゆる空気系男子ですから

人混みの中でこそより空気になれるんすよね・・・

パーフェクトブルーの音楽は最高でした!(イェイ)



そして


「みんなとこうして最高に盛り上がって

共有できたことすごく嬉しいです!

実はまだ青組のパフォーマンスの時間だって

みんな知ってたー?」


盛り上がりすぎて

体育祭ということすら忘れている

生徒も多くいた。


「今、まさに赤組も黄組も、

もちろん青組も関係なく

この体育祭を楽しむことができていることに

すごく幸せに感じています。

最後には勝敗がつくけど

結局はみんなが

海満の仲間だってことが一番大切だと思うから。

一年生二年生の後輩たちは

これからもそのことを忘れないでね。

あと、最近海満の海に

ゴミが落ちていることがあるって

近所の方から聞きました。

さっきスクリーンで観た私たちの海を

守るために協力してください。みんなありがとう♪」



美名城のMCとともに


青組のパフォーマンスが終わった。




青組のパフォーマンスが終わった後も

熱気はしばらく続いた。

特にパーフェクトブルーのメンバーは注目の的だった。



「駿くーん!!!」


「あ、どうも・・・」


「きゃー、可愛い!!!」

「かっこいいー!!!」



「タロちゃん」


「お前の人気具合をチャートで表したら

まるでバブルだな。」


「え、それっていつかは弾けるってこと?」


太郎はニヤリとして

「いつまでも明るい好景気を頼んだぞ!」


「ちょっと、タロちゃん、

それ完全に他人事対応(涙)」



男は基本的に女の子からモテたい

そう思う生き物(孝也)なはずだが、

モテすぎる(駿)のも

それはそれでちょっと大変なんだろうなぁ~

と思う太郎だった。



まぁ、俺には関係ないけど・・・



「タロちゃーん!!」


駿の心の叫びは太郎に届くのか。




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