第54話 大胆な戦略的告白

「あ、ああ、暑い・・・」



「でも高坂先輩はモテる。モテすぎるが故に

海満高校の五大伝説に認定されている。」



「五大伝説?」


「ああ、この高校には色々と伝説があるみたいだ。

さっき言った入学式での

異常なまでのモテ伝説がその一つだ。」


「高坂先輩みたいな伝説を持つ人が他にもいるのか・・・」


「あとの伝説はまた教えてもいいが、

ひとまずタロ氏がたった今、惚れてしまった高坂あかね殿は

そういう女子だいうことを授けておこう。」


と孝也が高坂あかねの伝説を授けたとき、



一人の男性生徒が

高坂あかねに近づいていく。




「あいつは何奴??」



一人の男子生徒が高坂あかねに近づいていく。

するとその男子生徒が言葉を発した。


「高坂先輩、俺ずっと高坂先輩のことを尊敬していました」



孝也は顎に手を当てて、

おもむろに駿と太郎に聞こえるよう推理を始めた。


〈孝也分析〉

顔は見えないが、後ろ姿から察するに

スタイルも良くイケメンオーラを放っている。

それに赤いスカーフに、先輩と呼ぶことから赤組の一年か!




「先輩の先ほどの放送に胸が打たれました」




〈孝也分析〉

様子から察するにあれは、ハートも射貫かれているな!




「こんなことを

人前で言うことじゃないのかもしれませんが、

俺、先輩を先輩以上に好きになってしまいました」




〈孝也分析〉

あいつ、相当自分に自信があるな。

一年にしてその言葉をこの人前で言える度胸も

並大抵の自信と確信がないとできることじゃない。

人前で・・・・

あいつ、まさか・・・・・


孝也がたどり着いた推理の先とは??




「赤組が優勝して、もし俺が体育祭MVPに輝いたら

一週間でも一月でもいいので付き合ってください」



〈孝也分析〉

あいつ、とうとう言いよった。

体育祭のMVPとは大きく出たが、

それ以上にあのモテ伝説を持つ

高坂あかねに真っ向から、告白するとは。

何という戦略的な告白だ。」


「戦略的な告白?どこが?」

孝也の推理について行けていない

駿と太郎。特に推理が気になる駿は

あの一年の告白は無謀にしか思えないでいた。



「いいか、これだけ大勢の前で

いきなり告白された高坂先輩は

百戦錬磨といえど、十中八九驚いているな。」



「それはそうだろうね」



「そう、その動揺をあの後ろ姿イケメンは狙ったんだ。

伝説になるくらいの高坂先輩に真っ向から

一対一で告ることはまさにハイリスク。

だが、ここにいる多くは高坂先輩の伝説を

知っていて、みんながこの結果に注目している。」



「うんうん」


「しかも先ほどの放送で

高坂先輩は盛り上がっていきましょーと

雰囲気を高めたため、

ここで断れば、一気に盛り上がりは欠けることになってしまう。」


「うんうん」

駿は真剣に孝也の推理に耳を傾ける。

一方太郎は、暑さから逃れようと

このとき、こっそりひっそりと列から外れていた。





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