ユニバース！

第1話 マサムネ、暁に死す

「今日は最高の1日だ」

フライドチキンをバケツで、ピザのＬサイズを３枚。

テーブルの上にそれを並べて、炭酸飲料で流し込む。

ゴクゴクと喉を鳴らしながら、動画配信サービスでアニメを見る。

完璧だ。これ以上ない至福。それが水鏡マサムネの休日の使い方だ。

３０歳を過ぎて、仕事も一通り慣れたものの、ストレスは日々感じている。

そのストレスから逃げているのだろうか。食べることが１番の楽しみになっていた。

高校生の頃は食べても食べても全く太らなかった。

むしろガリガリで、クラスメイトからイジメられたりもした。それが少しコンプレックスだった。

今は食べた分だけ太る。ブヨブヨだ。食べても食べても食欲は常に限界突破している。

1度切りの人生なんだから、好き勝手に生きるんだ。

と、一見豪快な感じの考え方だが、実際はただの怠惰。自分に甘い。その上、中二病でアニメオタクだ。

特にファンタジーものの世界が大好き。魔剣士や炎の魔法使いに憧れる。剣に魔法をかよわせて、

モンスターをやっつける。空を自由に飛んだり、時間を止めることができたらなと考えたこともあった。

アニメはいい。それが全て叶うのだから。想いが全て現実になる。

今日は何をのアニメを見ようか。

そんなことを考えながら、ピザを３枚重ねで口に放りこむ。

マサムネの意識はそこで途絶えた。