第4話 高級アイスと安いアイスどっちを選ぶ?

「佐藤と付き合ってるってことはしってます。でも、ずっと前から好きでした。少しでいいから、俺のことも考えてください。」

もし、高級アイスが、安い80円くらいのアイスと同じ値段だったら、あなたはどっちのアイスを選ぶ?

「…。ありがと。ちょっとだけ、考えさせて。」

別に、告白くらいされたことあるし、むしろ慣れてる。だから返事の仕方くらい、もちろん分かっている。でも、佐藤と付き合ってから、いや、付き合ってる「ふり」をしてからの告白は初めて。いつもよりも何か、気まずいってゆーか、なんてゆーか…

「はい。いつまでも待ちます。」

…假屋光星。

同じ学年で、学年1のイケメンと言われている。しかも、性格までよくって、いつも笑顔で明るい、誰にでも優しい態度が同学年にはもちろん、先輩後輩問わず人気がある。

正直、こんないいやついない。

私とも、全然つり合うし。

「お前、今日どうしたんだよ。」

…例えば、佐藤が80円くらいのアイス。ゲソゲソ君だとすると、假屋は、一個200円を超える高級アイス。

「別に。」

正直、悩んでる。佐藤とは、本当に付き合ってる訳じゃないし、假屋はほんとにほんとにいいやつだし、イケメンだし。假屋ほどの優良物件なんて、他にないし。付き合うってのも、なしじゃないよなー。

はぁ。あいつさえいなければ、絶対付き合ってただろうな。別に好きとかそうゆうんじゃないけど、断る意味はないし、それこそ、美男美女カップルとして自分の地位を上げることもできる。

「さとね!」

「な、何でしょうか?」

「ほんと、今日お前大丈夫か?」

「…ねえ。あんたさ、もし美海に告られたら、どうする?」

美海とは、この学年で、私の次くらいに可愛い子。

「は?お前、ほんとどうしたんだ?wwそんなにも俺が好きなのか?ww」

「はぁ!違うって!!自意識過剰!勘違いすんなって!違う…よ。」

「…俺は別に、告られても付き合わねぇぜ。」

…。

「ってか、美海より俺の妹の方が、可愛いぜ?」

ふっ。思わず私は笑ってしまった。ってか、また妹かよ!

「あんたの妹、どんだけ可愛いのさw」

「で、お前は何でんな事聞いたんだよ。」

「ー別にっ。」

ごめん。今は君に嘘をつくよ。

君が私を傷つけないように、私も君を傷つけたくないから。

ー「假屋くん。ほんとごめんね。」

「ううん。こっちこそ、ごめん。やっぱ、佐藤がいるもんね。」

…。

「ーうん…」

佐藤がいる、か…。

「なあ、今日くらい好きなアイス買ってやるよ!ほら、何でも買ってやる!」

もし、高級アイスが、安い80円くらいのアイスと同じ値段だったら、あなたはどっちのアイスを選ぶ?

「ゲソゲソ君!」

私は、今は80円のアイスを選ぶや。


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