第5話 剣と酒 後編

しばらく、丞相府の庭で曹操と共に緊張感ある簡単な酒宴をしばらく行っている際に不意に思いついたことを曹操に話す。

「丞相」

「なんだ?八雲」

「生活水準向上のための対策というのは、誰に進言すればよろしいでしょうか?」

一瞬考えた後曹操は

「どう言ったものだ?それは」

「時間は掛かるものばかりですが梅の種の再利用・人の糞から油を取る・井戸の汲み上げ作業簡略化・水をより安全にする方法・簡易水道・簡易下水道の整備です」

「ほう、とりあえず梅の種と井戸の汲み上げについて聞かせよそれで判断しよう」

「梅の再利用方法につきましては、新しい酒の原料・新しい調味料作り・人糞から油を取る際に使用いたします」

「梅の種で酒とな?それはどう作る?」

「まず木の樽を用意し、そこに綺麗に洗った梅の種を用意し今あるお酒を入れ数週間寝かせます、それで完成です」

「そんな簡単なものなのか?」

「少し試行錯誤が必要ですが、それでまたいつもと違う美味しいお酒が出来上がります」

「ほう、なぜそんなことを急に言い出した?」

「私はあまり汚いのはあまり好きではなく、遠征中や旅でないなら綺麗に過ごしたいのでそう申し上げた次第です。」

一瞬キョトンとした顔になった後曹操は

「汚いとな、はっはっは!まあ良い、その辺りは荀彧とかに相談してみよワシから話を通しておいてやる」

と言うとちょうど許褚がやってきた。

「丞相、お呼びとのことで如何様でしょうか?」

「来たか許褚、今日は八雲を送ってやれそして屋敷で簡単に、弓など細かな調練をしてやれ」

「丞相私は、剣や薙刀などはできますが弓はそこまでできません」

「ならばお主ができることをつけてやればよかろう」

というと、少し困り顔で

「はっ」

といい、私に近づいて

「八雲よ、いくぞ今日は酒に酔った状態でどこまでできるか試してやろう」

「ええ、師匠嫌なんですけど‥」

「師匠?許褚がか?」

「剣技などを教えていただいていますし、私にとっては先生なので」

「こやつが師匠とな、はっはっは!それは良いわ」

と満面の笑みで曹操は高笑いする。

「今日はなかなか実りある日であったわ、八雲よ帰るが良い」

「それでは失礼します」

と許褚と共に丞相府を出た。


すると許褚が急に喋り始めた「八雲よ」

「なんです師匠?」

「師匠はやめよ最初の時のように将軍でいい」

「はあ、じゃあ将軍は俺の師匠ですって紹介にしときます」

と許褚は兜に手を置きため息をついた後、

「よくはないがまだマシか、そうしたいならそうしろ」

「はい♪」と返事する。


屋敷前

馬を降りると、ちょうど桜が出てきた、

「お帰りなさいませ八雲様」

「そして許褚将軍様、いらっしゃいませ」

と礼をする。


「ただいま」

「出迎えご苦労」

と桜にそれぞれ声をかけて

屋敷の庭にいく、

許褚は薙刀を持ち、私は弓と剣を持つ。

「八雲よ、今日はお主に弓を防ぎながら進んでくる敵との戦い方を学んでもらおう」

「持ってきた薙刀はあらかじめ刃は潰してあるゆえ安心せい」

「将軍の場合怪力ですから安心できないんですが苦笑」

「細かいことは気にするな、とりあえず何も言わんゆえ好きにやってみせよ」

と許褚が走り出したので、弓をつがえながら薙刀の範囲に入る直前で避ける、

そのまま庭の木を蹴りバネのように許褚が体勢を翻したのでそこにすかさず弓を二撃打ち込む、するとそれに反応しそのまま薙刀を大振りで弓を潰し

1本は避ける、そのまままた突っ込んでくるので今度は庭の観葉植物を並べる台のようなものに乗って家の石垣に飛び乗りそのまままた二本同時で二回弓矢を放つ

すると薙刀で弾きつつ、こちらを睨みながらアドバイスをかけてくる許褚

「悪くはないが、わしはあくまで力技が主体だ趙雲のような軽快なものへの対応も考えながらやれ、その対応はあくまでわしや張飛・関羽のようなタイプに向いておる」

「はい、じゃあ行きますね」といい弓を三本同時に放ちそのまま走っていく。

そんなこんなで1時間ほど徹底的な基礎訓練を続け、息も絶え絶えになってきた頃に、

許褚が涼しい顔で、「剣を使わず凌いだ対応は賞賛に値するが、お主のその対応の仕方だと戦場で敵将が2人同時に来たりしたら討ち取られる、対応をもう少し考えよ」

「はい」

「夏侯惇や徐晃あたりとも後々訓練せい、話は荀彧殿を通せばスムーズにいくはずだ」

「わかりました」

「さて、明日からしばらくは訓練場でやって4日後には御前試合だ」

「あれ?だいぶ早くなってませんか?」

「丞相が日にちを変えられたのだ」

「嘘やん」とため息をつくと励ましているのか

「お前の訓練している姿やお前の剣筋などを見ずに戦うことになるし良いではないか」

「戦う相手がわからん状態で戦うのは色々有利な面があるのだぞ?」

「それは私もですが?」

「お前はワシが指導しているし、わしが曹仁や張郃そして若様には負けんのは理解できよう?」

「はい」

「そのわしに指導を受け、致命的なダメージも受けとらんそれは充分戦えるということだ、実戦と試合は違うそれを考えれば分かろう?お主はワシより頭も切れるのだから」

「ありがとうございます、将軍」

「わかればいい、今日はこれまでだ」

「ありがとうございました」

というと許褚は後ろ姿のまま手をあげ帰って行った。


そんなこんなで、許褚との訓練とお酒作りや竈作りを思考錯誤するということを繰り返し3日が経った。


御前試合前日:丞相府

「許褚よ、八雲はどうだ明日の試合は勝てそうか?」

「私としてはいけると踏んでおります、あやつは元々頭も切れる方ですので問題ないかと」

「曹仁や張郃や曹植はどうだ?」

「曹仁や若様は準備をなさっておるようですが、張郃は少々油断しておるようです」

「油断とな?」

「酒を飲み準備も特にしておらぬようです」

「ほう」

「まあ良いその感じだと間違いなさそうだ」

「丞相のお考えの通りかと」

と許褚の返事を聞きながらも何か思案している様子だった。



後書き

いよいよ御前試合が次話より始まりますが、御前試合で何やらありそうな?

という雰囲気、さてさてどうなるか次回もお楽しみに。

明日は、異世界はほんとご都合主義(仮)を更新予定ですお楽しみに!

応援やいいね等してくださるとモチベーションになりますのでよろしくお願いいたします。

また糞から油を抽出する方法等ですが、一応実在するものをモチーフにしていますのでまるっきり空想のものではありません、とりあえずその辺りを念のためご紹介しておきます。

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