第4話 剣と酒 前編
翌日、八雲は屋敷で弓の稽古をしていると、
小さめのがっちりした鎧の男が入ってきた、「其方が八雲殿か?」
と言いながら挨拶してきたので、挨拶を返し
「いかにも、あなたはどちら様ですか?」
「私は丞相の側近である将軍が1人曹仁と申す」
「これは、曹仁将軍や我が借家にどういったご用件でしょうか?」
「丞相が私にあなたを丞相府に参内させよとご命令されたゆえお迎えに上がった次第です。」
「それはご丁寧に感謝いたします、しばしお待ちください身なりを整えてまいります」
「承知した」
数分後
「お待たせいたしました、将軍」
「来られたか、ではついて来られよ」
と曹仁が先導してくれるのでそのままついていくと馬が2頭いたので、
そのうちの1頭に乗る。
「ほう、その馬はコクガといい気に入らぬものは乗せぬ馬なのだが‥」
「しれっと嫌がらせですか将軍?苦笑」と苦笑いを浮かべながら曹仁に向く
「そうではない、馬車を持ってくるのを忘れてな取りに行かせておったのよ」
「それはご丁寧にどうも将軍、コクガに乗せてもらえましたしこのまま参りますか?」
「いや‥、そうだなそれではついてこられよ八雲殿」
「はい将軍」と返すと曹仁は駆け出した。
丞相府前
見張り兵「これは曹仁様おかえりなさいませ」
「お主は何者だ?」と槍を向けこちらに質問してくる兵士。
挨拶をしながら「丞相に参内する様に呼ばれた、右将軍八雲である」というと
兵士は膝をつき
「失礼しました、将軍」
と言ったので、
「構わんよ、忠勤ご苦労」というと兵士は嬉しそうに
「はっ、ありがとうございます」といい元の位置に戻った。
「曹仁将軍?行きましょう?」と声をかけると、じっとこちらをみていた曹仁ははっとした顔で
「ああ、こちらへ」
と丞相府に先に入っていく。
すると侍従らしき男が手をあげ静止したので侍従の横で曹仁将軍と共にまつ。
すると、奥から
「右将軍八雲、参内し丞相に拝謁せよ」と聞こえてきたので
中に入ると両脇に将軍が7名ずつほど並んで立っていたのである程度まで近寄って、
曹操に、
「右将軍八雲が丞相に拝謁いたします」と挨拶をする、すると
「ようきた、八雲今日お主を呼んだのは、お主に剣をくれてやるのを忘れてなそれを渡そうと思ったのと官位に合わせてそれとお主に山陽侯に封ずることが決まった」
と曹操がいうと驚く将軍は驚き、後ろの方ではギロッと睨む将軍が出てくる。
「皆鎮まれ、話の邪魔よ」
「はっ申し訳ありません」と将軍たちが頭を下げる
「どうだ八雲?」
「丞相私には、過分すぎるかと右将軍をいただき、さらに侯を頂き、剣もいただくのはさすがに」
「嫌だと申すか?」
「嫌ではありませんが私はあくまで客分でしかありません」
「わしがいいと言っておるのだから問題ない八雲受け取るがよかろう」というので
「それでは剣だけを頂きます、残りは御前試合をみて改めてご判断ください丞相」というと、夏侯惇が「丞相その方がよろしいかと、要らぬ悶着が減ります」というと少し考えたそぶりを曹操が見せた後
「そうだな、その方が八雲にとっては良いだろう、八雲よ御前試合後に残りは渡すことにしよう、どうだ荀彧?」
「その方がよろしいかと思います丞相」
「そうか」というと
「八雲よ、要件はそれだけだこのあとは少し話に付き合ったあと許褚と鍛錬をしていけ」
「はあ、了解です丞相」
「ついてまいれ」と曹操は先に歩いて言ったのでそのままついていくと、綺麗な庭に出た、庭に出ると石造りテーブルの周辺に、お酒や梅などの簡単な宴席が用意されていた、
曹操がそこにおもむろに座るとお酒を入れながらおもむろに
「昨日司馬家に行ったそうだな、八雲よなぜ司馬家に行った?」
「単純に、道中で聞いた話が気になったので会えるなら会いたいなと思い荀彧殿に頼みご紹介をお願いした次第です」
「そうか、だがお主は私的な先生になるように言ったそうだのそれはなぜだ?わしが家臣にしたいと言っておったのを聞いておったはずだ」と真顔で曹操は問いかけて来たので、少し緊張で口が乾くのを感じながら
「私は現在丞相の客分でかつ丞相の下にいて、丞相から剣を賜るほどの縁を頂いております、その私が司馬懿殿を先生にすれば間接的に丞相や曹丕様などとのお付き合いも強制的に増えて参ります、そんな中で直接お取り立てになった方が丞相にもそして私にも理があると思いましたので、司馬懿殿にお願いいたしました次第です」というとそうそうは酒を飲み梅を一つ食べてから、
「なかなか考えたな、まあ良い今日は他にもいろいろとお主に伝えたいことがあったゆえ呼んだのだ」
「伝えたい事ですか?」
「そうだ、八雲よお主には試合の後から曹丕の先生をやってもらいたいのだがかまわんか?」
「曹丕殿ですか?」
「最初は曹植などの先生にしようかと思ったが珍しく夏侯惇と荀彧が曹丕を推したのでな、気まぐれだがそうしようと思った次第だ。」
「戦いから遠ざけてくださったのはありがたいですが、丞相まだ含みがあるのでは?」
と言うと曹操は、ニヤリと一瞬笑い
「そうだ、お主には近く生まれる我が子の先生にしたい、お主はここにきてまだ火が浅いし、許褚が八雲は余程のものでない限り倒されることはないと言っておったのよそれでお主に頼んでおる」
「しかしそうなれば曹丕様は?」
「同時に面倒をみても構わぬし、厳しいならわしが命ずる方の面倒をみよ」
「難しい事をおっしゃいますね‥」
「まあまだ時間はある、今日は飲め」
と曹操がお酒を注いでくれるので
「丞相にお会いした縁と丞相のお子様に」と丞相に杯を掲げてお酒を飲む。
その様子を曹操は満足そうにみている、するとふわりと風が吹き
ひらりと菊の花びらのようなものが杯に落ちたのでふっとそばにあった木々を見ると風が優しく木々をたなびかせていた。
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