第2話 職業ポーター
職業ポーター。
非戦闘員の荷物持ち……しかし、ただ荷物を持つ事だけが仕事ではない。
バックパックには武器や防具を掛けられる様に出来ており、複数の武器を所持出来る。
さらにその中にはアイテムや薬、テントや地図、調理品、食料、日用品が入っている。
そして、戦いの時はバックアップ要員として必要なアイテムを瞬時に判断、それを戦闘員に渡したり、瀕死の場合直接使用したりする。
さらに瀕死の魔物を仕留め、魔物が落とすドロップアイテムの回収を担当する。
戦闘員の傷や受けた魔法によって薬やアイテムは異なる為に、薬の使用方法、薬草の調合まで、全て頭の中に入っており、負傷具合を判断し適切なアイテムを渡したり使用したりする。
そしてポーターの仕事は、戦闘以外がメインとなる。
戦闘以外のほぼ全て……武器や防具の修理、キャンプの場合テントを張ったり、寝床の準備をしたり、食事の支度、洗濯まで全てをこなす。
ただ、やはり、ほぼ非戦闘員の為に、レギュラーメンバーとしてパーティーに入る事は殆んど無い。
ポーターは基本日雇い契約、しかしそれには金(ゴールド)が必要となる。
金は特殊ドロップアイテム。
滅多に出ない代物で魔法アイテムや通貨として仕様される。
そして日雇い契約にはこのゴールドで契約金、前金を支払う事になる。
僕はと言うと、今回レギュラーとしてパーティーに入り、数ヶ月パーティーと共に生活していた。
昨日迄は当然分け前として、ドロップアイテム等の一部の報酬を得ていた。
でも……一昨日この森でとんでもない量の敵を殲滅した。
滅多にない成績にパーティー全体が沸いた……僕を除いて……。
来るな? とは思っていた。注意はしていた……でも昨日僕はお酒に負けてしまった。
高価なドロップアイテムの全てを持ってパーティーは僕を放り出し行ってしまった。
「ま、とりあえず今までの金だけは肌身離さず持っているから……よし、としよう」
僕は森の中を歩きながらなんとかポジティブに考えるよう、ぶつぶつとそう自分に言い聞かせていた。
「初のレギュラー入りかと思って頑張ったんだけどなあ……」
バランスの取れたかなり強いパーティーだった。
「余裕無かったのかなあ?……金遣い荒かったしなあ……」
しかしそれだけに強い武器や強いアイテムを必要とする戦闘員は、ほぼお金のかからない非戦闘員の僕に、いい気はしていなかっただろうと推測出来た。
「……先は長いな……」
無くなった村を、ポーターの村を再興するのが僕の夢だった。
それには大量のお金が必要だった。
どこに行ったかわからない村の人達……その人達にまた会う為に、僕は村を作りたい……再興したい……ポーターの村をって……そう思っている。
◈◈◈
「きゃ!」
森を抜ける為に早足で歩いていると、どこから悲鳴が聞こえた。
「な、なんだ?」
パーティーが戦闘している様子は無い、そもそもなるべく魔物が少ないルートを選んで歩いている。ここで戦闘するのは非効率だ。
僕はバックパックの横にあるポケットから、布を取りバックパックと身体に巻き付けた。
緑と茶色の布、気休め程度だが森ではこれで身体が隠せる。
僕は影を潜めそっと声の聞こえる方に近付いた。
「いや、誰か……いやあああああ」
声の主は金髪の少女だった。
森の中でとんでもなく目立つ、ピンクのドレスを纏った金髪の少女が今まさに魔物に襲われようとしている最中だった。
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