938. 淑女たちの嗜み
【沼にハマりやすい先輩後輩コンビ又それらに起因する不適切な会話群】
(放課後練習前)
談話スペースのソファーに寝転ぶノノ
「ハメられてえ……」
着替えて一階へ降りて来た愛莉
「…………どういう独り言?」
……………………
ポケッとしてるノノ
「……お疲れさまです」
顔が引き攣っている愛莉
「これから練習でしょうが……ていうか、今のアンタの発言でドッと疲れが増したんだけど……」
上の空なノノ
「……はぁ~~…………」
怪訝な面持ちの愛莉
「なに?」
遠い目のノノ
「えっちしてえ……」
しっかりしなきゃと思い始めた愛莉
「だからやめなさいってそれ」
ダウナーなノノ
「センパイもそーゆーときないですかぁ~……? なんかこう、とにかく……あぁっ、シてえ! ……ってとき」
メチャクチャ覚えがある愛莉
「……無いわよ。そんなの」
態度でだいたい分かったノノ
「またまたぁ~! これだけのヒントで察しちゃってるじゃないですかぁ~」
割と本気で逃げ出したい愛莉
(あー。長くなりそー……)
語りたいノノ
「ノノ、めっちゃご無沙汰なんですよねぇ~」
スケジュールを確認したい愛莉
「……そんなにだっけ?」
甘い声と共に天井を見つめるノノ
「かれこれゴールデンウィーク以来、センパイの温もりを感じていないのです……二週間も放置されたらペットは飼い主の顔なんて忘れちゃうんですよぉ~……?」
まだ冷静な愛莉
「はいNGワード。みんなの前でペット宣言禁止」
年下らしく甘えるノノ
「センパイしかいないじゃないですかぁ~!」
何かと相手をさせられている愛莉
(完全にダル絡みモード入ったわね……)
思い付いたノノ
「…………愛莉センパイ、昨日でしたよね?」
先手を打った愛莉
「なにも話さないわよ」
気になって仕方ないノノ
「ちょっとくらい良いじゃないですかぁ~! マジでセンパイ成分が枯渇しちゃってるんですよぉ~!」
本気で嫌そうな顔の愛莉
「本人に頼みなさいって」
急に真顔のノノ
「あ。いや、それは無理です。今日比奈センパイなんで」
身を持って恐ろしさを知る愛莉
「あ~……」
ムラムラし始めたノノ
「ホントにちょっとで良いんで教えてくださいよぉ……このままだとノノ、練習中にセンパイのこと襲っちゃいそうで……」
げっそりする愛莉
「恐ろしい病ね、恋愛って……」
隙あらば愛莉のおっぱいを揉みたいノノ
「センパイが言えた口じゃないとは思いま~す。あとその病名、正しくは欲求不満で~~す」
身の危険を察し早々に妥協した愛莉
「…………ホントにちょっとよ」
飛び上がるノノ
「おっしゃ来たッ!!」
仕方なくソファーに座る愛莉
「ったく、練習前だってのに…………あー……どこから?」
身を乗り出すノノ
「最初からです!!」
迂闊な真似をした愛莉
「えーー……………」
ここぞとばかりにノノ
「ノノ的に一番不思議なのは……ほらっ、愛莉センパイって基本センパイにツンケンしてるじゃないですか。どのタイミングで切り替えるのかなぁ、と」
答えちゃう愛莉
「…………まぁ、向こうから。だいたい」
やっぱチョロいなあと思っているノノ
「ど、どんな感じで!?」ワクワクッ
色々思い出しちゃった愛莉
「……ギューってしてくれて……」
ペンとノートを取り出したノノ
「ふむふむ!」カチカチッ
実は昨晩の余韻が抜けてなかった愛莉
「そのまま暫くゴロゴロして……それで、そのっ……段々手付きがやらしくなってきて……っ」
目がキマっちゃってるノノ
「ほうほうほう!!」
もじもじする愛莉
「ぁぅ……それで、えっと、そのっ……いっ、色んなところ、さっ、さわられて……っ!」
ノノ
「ふぉおおォォオオーーッッ!!!!」
愛莉
「ばっ、ちょっ、騒ぐなっての!?」
ノノ
「で、で、でッ!? 弄られてどうなるんですか!? やっぱり○○だけで○○○れちゃったりとか!? センパイ○○おっきいですもんね!! その分感度も……ッ!!」
愛莉
「んなことデカい声で言うなああああアアアア!!!!」
偶然通り掛かった橘田会長
(あら、長瀬さん。部活前かしら…………二年の市川さん、か。良いなあ。私もあんな風に長瀬さんと気兼ねなくお喋りしたい……)ソワソワ
【なんてことない顔をしているが三年で一番ヤバいのはコイツ】
(お昼休みなう)
彼女が別クラスなので油断しているテツ
「オミちゃ~んオシッコ行こ~」
会長の存在を忘れているオミ
「お~。テッちゃん便器な~」
ノリが良いテツ
「イヤァ! ケガサレルゥ!!」
もっとノリが良いオミ
「文字通りなッ!!」ババーン‼
顔真っ赤で立ち上がる会長
「ちょっと葛西くんッ、女子もいるんですよ!? そのような不適切な発言は……!!」
ヘラヘラする真奈美
「まー薫子~。男子はそういう生き物だから~」
割と真剣に悩んでいる会長
「うぅ~っ……! どうしてあの人はこうもデリカシーが無いのよぉ……!」
ニヤニヤする真奈美
「そこは彼女たる薫子の手腕に期待ですなぁ~」
頭を抱える会長
「また軽々しくっ…………はぁぁぁ~……ちょっとは谷口くんを見習ってほしい……」
いつのことと昼食を続ける真奈美
「え~? 大ちゃんも結構そーゆーとこ無頓着だよ~? 朝練の後とかすっごい汗臭かったし~」
顔を上げる会長
「……かった? 過去形ですか?」
切り干し大根を堪能する真奈美
「最近気にしてるみたい。香水使い始めたんだって」
眉を顰める会長
「……それ、ちょっとダサくない?」
ほっぺにいっぱい詰まってる真奈美
「ぜーんぜん! むしろグッド! スメルに気を遣うのも男の嗜みなのだよ、薫子くん! なんなら使ってるやつとかお勧めしてみたら?」
ピンと来ない会長
「それよりもデリカシーの無い言動を直してほしいのよ……」
購買でお茶だけ買って戻って来た比奈
「なんの話~?」
帰って来た比奈の手をスリスリする真奈美
「男の子ってデリカシー無いよねーって」
スリスリし返してあげる比奈
「そーお?」
大方ご満足な真奈美
「あー。比奈ちゃんには縁の無い話かぁ~」
匂わせるどころじゃない比奈
「まぁ陽翔くんはねえ~」
気になる会長
「……彼がどうしたの?」
ちょっと得意げな真奈美
「大ちゃんの香水、廣瀬くんがプレゼントしたんだよ。昔使ってたけどもう要らないからって」
少し気になる会長
「へぇ、彼が香水を……意外な趣味ね」
なんの気なしの比奈
「わたしも詳しくないんだけど、サッカー選手って試合前にいっぱい香水を掛けるんだって。ロッカールームとか凄い匂いらしいよ」
首を傾げる会長
「……だとしたら、あの人のデリカシーの無さについて説明が付かないわ」
無意識にアピールしちゃう比奈
「陽翔くんはちょっと特殊なんだよねえ~。ああ見えて女子力高いんだよ?」
戸惑う会長
「じっ、女子力……?」
自分のことみたいに自慢する比奈
「朝も夜もお肌の手入れにすっごい時間掛けてるの。忙しいときはチャチャッと終わらせてるけど。肌荒れしやすいからって言ってた」
女子の手本みたいな返しをする真奈美
「へー! なんかポイント高~い!」
アピールし過ぎちゃう比奈
「ただ、ちょ~っとやり過ぎなんだよねえ~。ベビーパウダー教えてあげたら真っ白になるくらい着けちゃうし」
文芸部の血が騒ぐ真奈美
「ぁ~~不器用男子ィ~~ッ!!」
半笑いの会長
(また話が逸れて来たわね……)
コミュ力の高い比奈
「つまり、そういうこと! 薫子ちゃん、ちゃんと教えてあげれば葛西くんも分かってくれるよ」
何故か苦手意識が拭えない会長
「え、えぇ……ありがとう倉畑さん」
あざとい比奈
「もぉ~。わたしも呼び捨てで良いのに~」
怒らせたら怖そうだなぁとか思っている会長
「そ、そうね。善処するわ……ッ」
トリップ仕掛けてる真奈美
「不器用美容系ツンデレ男子……イイ……つよい……ッ!!」
泣きべそのテツ
「大ちゃ~~ん!! オミにトイレにされたぁぁ!!」
恐らく下の名前が浸透していない谷口
「ええ? なに?」
何故か下半身が濡れているオミ
「コイツが便器シェアしようとか言い出したからだよッ! マジで最悪ッ!?」
改めて谷口大吾くんです覚えてください
「高三にもなって何やってるんだよお前ら……」
他人を装いたい陽翔
「キャプテンって大変やなぁ」モグモグ
机に顔を伏せる会長
「……あれを矯正しろですって……?」ゲッソリ
何だかんだ応援はしている比奈
「がんばれ~~♪」
違和感を抱いた真奈美
(私も大ちゃんに色々教えてあげようかなぁ~~……ん? あれ? あれれ? なんか今……)
何かひらめきそうな比奈
「今日もサッカー部さんは元気いっぱいだねえ~…………ふーん。そっかあ。トイレに……トイレにする……」ブツブツ
何かに辿り着きそうな真奈美
(三人とも『彼氏がいる』って前提で喋ってたけど……比奈ちゃんって別に、廣瀬くんの彼女ではないよね……? なんで朝晩のルーティーンを知っている……?)
ひらめいちゃった比奈
「…………んふふふふふふふふっ♪」デレェ
気付いてしまった真奈美
(葛西氏の話では愛莉ちゃんが彼女の筈……だよね? そうだよね? えっ? あれ? 待って? えっ!?)
早速行動に出た比奈
「陽翔く~ん。ちょっとお出掛けしよ~」
トラップに掛かった陽翔
「あん。なんやどした」
あらゆるリスクを許容した比奈
「良いところ連れてってあげる~♪」
引っ張り出される陽翔
「いや、まだメシ食っ」
匂わせる比奈
「もっと美味しいもの食べれるよ~♪」
今回ばかりは疑うべきだった陽翔
「またまた。愛莉の弁当より美味い飯なんて早々……」
すべてを察してしまった真奈美
(…………あ、違う。これ廣瀬くんが被害者だわ。完全に食ってるわこの子)トオイメ
何一つ察しなかった会長
(まずはハンカチを常備させるところから……)
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