Return to Nono ~『濡れ毛布』をやっつけろ~

885. Dialogue No.99


 え? ノノの悩み?

 いや、別に無いですよ。


 何に悩んでると思ったんですか? ここに来ておっぱいが急成長してるとか? むしろ嬉しい悩みですが?? 他でもないセンパイのおかげですが!? なんなら今お試しになられると!?


 真面目にやれ? いやぁ、マジでなんも無いんですって…………じゃあ、一応。

 まぁその、ホントにちょっと気になっただけっていうか。そんだけですけど。



 センパイ、来栖まゆのこと、気になってません?


 ……だから、そんな目で見ないでくださいって。真面目ですよこれでも。マジマジ。大マジで。ちゃんと聞いてください。


 ほら、もっとこっち寄ってください。いくらベッドが広くなったからって、ノノから離れて良い理由にはならんのです。さあさあ。


 

 はい。で、本題ですけど。

 試合したじゃないですか。

 で、会ったじゃないですか。アイツに。


 売り言葉に買い言葉って感じで、ノノもキツく言っちゃったんですけど……普段からあんなおっかないこと言ってないですからね?

 ノノちゃん優しい。優しいノノちゃん。はい、せーの…………ホントに言うんかいっ。



 いやまぁ、実際可愛かったんですよ。来栖まゆ。嫌いじゃないんですよね。あんな感じ。外見ですよ、外見。中身はウ○コですけど。ええ。


 ツインテールとか、あーいう小っちゃい顔とか。まぁ女の子なら一回は憧れますよ。だって可愛いし。他に理由とか無いです。はい。


 ノノがなんで髪伸ばさないのか知ってます? クソ似合わないんですよ。長髪。

 それこそ小学生の頃、シルヴィアちゃんにゲラゲラ笑われたっけな……あ、それはカツラ被って学校行ったからか。そうでした。



 よーするに、なにが言いたいかというと……ちょっと憧れてるんですよ。『The・女の子』みたいなの。


 たぶんノノってそーいうのではないんすよ。可愛いですけど。可愛いは可愛いのですが! ただ、女子力という意味では……ちょーっと低いかなぁ、と。



 …………いや、マジで。

 それは言い過ぎです。

 ノノ、案外普通の女っすよ。ホント。


 フットサル部ではあんな感じですけどね。ていうか、センパイ知ってるじゃないですか。オフの市川は結構根暗だったりするのです。


 女の子らしい趣味とかなんも無いんですよ。愛莉センパイみたいに料理も出来ないし、瑞希センパイみたいなメイク上手いとかも無いし。

 あのお二人はもう、存在自体が『女の子』じゃないですか。無理ムリ。敵わん。


 一方の市川ですよ。休みの日とか何してると思います? …………はい。そうです。走ってます。走ってゲームして、ワンコと散歩して、ゲームして、DA○Nでサッカー観て、自主練して、ゲームして、そんで寝てます。


 …………これのどこが女の子なんですか!!!! 妻と子どもに見捨てられたアラフォーのオッサンか!!!! 反吐が出るわ!!!!



 いやぁ~違うんですよ……可愛くなりたいんですよノノはもっと……分かります?


 こう、キラキラしたいわけですよ。普通に、華のJKとして。然るべく。えっ、華のJKは然るべくなんて言葉使わない? おぉ。確かに過ぎる。


 まぁでも、そーいうところなんですよねぇ……もうノノにはムリなんですよ。根っこが枯れちゃってると言うか……。



 ……むふふっ。そーですね。


 普通の女の子は、好きな人のペットになりたいなんて、考えもしませんね。


 つまりですね。ノノはありのままのノノを受け入れてくれて、しかも甘やかしてくれる、そんな都合の良い飼い主様を探していたのです。


 こんなダメダメなノノを可愛いって、大好きだって言ってくれる……そんな人と出逢うために、ノノは生まれて来たんですよ。きっと。


 それが、センパイだったんです。

 むふふっ……あれ? 興奮しちゃいました?


 あ、ちょ、待っ……。






 ……………………




 


 ……いや、興奮しすぎ。


 うぅっ……あんまりストレートに褒めないでくださいよぉ……! ノノはイケメン耐性が無いんですっ! 何度言ったら分かるんですかっ!


 ま、まぁ、確かに? ノノは引くほど美少女ではあるわけですが? それは認めますよ。えぇえぇ、認めますとも!


 とはいえ、とはいえですね? その、あれですよあれ…………好きな人に面と向かって言われても平気かと言うと、また別のお話でありまして……あの、すいません。マジで勘弁してくださいっ……。



 え。あ、はい。来栖まゆですか。


 まぁその、なんですかね。あれですよ。あんな奴でも可愛い子ぶれるなら、ノノももっとイケるんじゃないかなって。


 思ったんです。ちょっとですよ。ちょっと。センパイがちっとも使いたがらないより薄いレベルの。あ、はい。すんません。黙ります。



 ……そうじゃないですよ。ペットで良いというか、むしろそっちが良いんです。恥ずかしいじゃないですか。恋人。さっきのノノのリアクション見てくださいよ。絶対メンタル持たないですって。


 なんて言うのかなぁ……こう、もうちょっとランクアップ出来るんじゃないかなぁ、と……ふと思ったわけでございまして。分かります? 言いたいこと。


 そーなんですよ。ノノ、言うほどペットじゃないんですよね…………そんなことない? 今のままでも?


 ん~~。そう言われると逆に抵抗したくなる……センパイは良くても、ノノが困っちゃいます。ペットはペットでも、それなりのプライドってモンがあるんですよ。お分かり??



 ……やっぱり、センパイのせいかも。


 今のままでも全然良いのに、もっともっと、可愛くなりたいって、そう思っちゃったんです。

 そしたらセンパイも、もっとノノを可愛がってくれるかなって……。


 ……嬉しい?

 えへへへっ……。



 ……てゆーか、実際センパイ、マジで悪いんです。だって来栖まゆに絡まれて、ちょっと嬉しそうだったじゃないですか。


 いやマジで。ノノには分かります。明らかに鼻の下伸ばしてました。女の子には分かるのですっ! 仮に女子力が引くかろうとも!!


 

 あ。そっか。

 別にペットでも良いのか。

 可愛くなろうと思えばなれるか。


 ……そうですよ、そういうことなんですよ! むふふふっ……つまり、つまりですね。ノノが最強に可愛いペットになれば良いわけです!


 え、意味分からん?まぁ聞きましょうや。

 なんで、揉むのやめてください。一旦。


 あれですよ。偶に服着てお散歩してるワンちゃんいるじゃないですか。金持ちのババアが着せてるみたいなアレ。んははっ。超悪口。ウケる。


 でもでもっ、ノノに足りないのはそーいう要素だと思うのですっ。ちゃんとおめかししたり、毛並み整えたり、色んな芸が出来たりとか。

 え、芸は出来る? それは確かに。あんな安っぽい芸で笑うのセンパイとシルヴィアちゃんだけですけど。マジ感謝。



 つうわけで、女子力磨きます。ノノ。


 ……話が急? 言うほどじゃないですか? だって、センパイのためにもっと可愛いペットになりますって、そーいうことですよっ?


 いやいや、勿論フットサル部も頑張りますって。あと一か月ですもんね……それも含めてですよ。グレードアップ市川です。よーするに。



 もっともっと、可愛くなります。

 ちゃんと可愛くなります。


 だから、陽翔センパイ。

 余所見……しないでくださいね?



 ……あの。センパイ。

 余所見って、そっちじゃなくて。

 どんだけ凝視してるんですか。


 ホントに好きですよねっ……まさか瑞希センパイまでレベルアップさせるとは、恐ろしき才能、いやマジックハンド……あ、ちょっ。ストップストップ!


 ノノ今日一限なんですって! これ以上は遅刻しちゃいますからっ!? ストップストップ、すとーーっぷっ!?


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