第250話 夢……?

「……あれ? 俺は……」


 気づくと、俺は眠ってしまっていたようだった。周囲を見回してみる。どうやら、まだ洞窟の中にいるようである。


「確か、ドラゴンゴーレムを倒して……それで……そういえば、リアは……!」


 今一度周囲を見回してみても、リアの姿はない。皆、どこかに行ってしまったのだろうか?


「……せっ! ……なんかに……ないぞ……!」


「……リアの声か?」


 少し離れたところから途切れるようにして、リアの声が聞こえてきた。俺は立ち上がって声の聞こえる方角がどこかを調べる。


「……ぐあぁぁぁぁぁ……!」


「……悲鳴? リア……どうして……」


 意味がわからない。ドラゴンゴーレムの動力源は確かに破壊したはずだった。


 それならば、もう脅威は去っているはずである。それなのに、一体何が起きているっていうんだ?


「……こっちか!」


 リアの声から大体の方向はわかった。俺は走り出す。


 なんだか、嫌な予感がする……俺が気を失う前に最後に聞いた声……あの声は、俺の記憶違いでなければ……。


「や、やめろっ……! その顔と声で……そんなことを言うな……!」


 リアの声がすぐ近くで聞こえてきた。


「リア!」


 声をあげながら俺が見た光景は……信じられない光景だった。


 目の前にはメル、ミラ、サキ、キリ……全員が地面に倒れていた。皆、一様に傷だらけである。


 メルがいるというのに全く回復ができていない……つまり、それくらいの速さで唐突に攻撃を受けたってことか?


 そして、その中央には……リアがいた。


 しかし、何者か……後ろ姿からして男が、リアの首を掴んで持ち上げている。リアは、反抗的な表情をしてその何者かを睨んでいる。


「……リアを離せ!」


 俺は叫んだが……男は振り返ることすらしなかった。俺はそこに駆け寄っていく。


「おい! リアを離せと言っているんだ!」


 それでも男はまるで反応しない。まるで俺の存在に気付いていないようだった。


「このっ……!」


 俺は思わず男に殴りかかった。そして、俺の拳はそのまま男の頭部に――


「……え?」


 ヒット……しなかった。拳はそのまま男とリアの身体をすり抜けて、にそのまま俺は地面に倒れ込んでしまった。


「……な、なんだ? 俺はまだ夢でも見ているのか?」


 と、俺が混乱していると、男がこちらを見る。


「……なんだ? 今なんか変な声が聞こえたが……気のせいか?」


 俺はその男の顔を見て……絶句してしまった。


 その男の顔は……俺だった。紛れもなく、俺自身の顔そのものだった。


 そして、その声も……間違いなく、俺自身の声だった。


 俺の顔をした男が、リアの首根っこを掴んでいたのだった。

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