第219話 強さの証明
「……レイリアが、そんなことを……」
意識を取り戻したリアに、俺はありのままを話した。さすがにショックを受けると思っていたが……俺の想像よりもリアの反応は薄かった。
それこそ……最初からそうなることを予想していたかのような反応だった。
「……えっと、リア。その……もちろん、レイリアにアナタの身体を渡すなんてことできないので、どうすればいいのか……困っていて……」
「……なぜ、困るんだ?」
と、俺が話の先を続けようとした矢先に、リアが先に言葉の先を続ける。
「え……だって、そんなこと……」
「……それしか方法がないのだろう? だったら……そうするしかないではないか」
リアは力なく半笑いでそう言う。むしろ、俺のほうが予想外のリアの反応に驚いてしまうことになった。
「……リア。本気で言っているのですか?」
「あぁ……私は痛感した。私は……本当に役立たずなのだ、と。姉上があんなことになったのに、私は何もできなかった……自分が情けないんだ……」
「リア……でも、それはリアのせいでは……」
「……わかっている。だが、そうでないとしても、私は何もできなかった。ミラやメル、サキでさえ、マギナやルミスとの戦いに貢献していた。しかし、私は何もできなかった……だったら、こんな私は、レイリアに身体を差し出してしまってもいいのではないか、って……」
「それ、本気で言っている?」
と、リアのその言葉に明らかに不満げにそう言ったのは……ミラだった。
「……あぁ、本気だ」
「……ミラ。リアはラティアのことで落ち込んでいて……」
「いや、その感じだとリアは本気で自分が役に立たないと思っているみたいだね」
リアは視線を落として申し訳無さそうに黙る。俺も……なんとリアに言葉をかけてよいのかわからなかった。
「……だったら、本当に役に立たないか、証明してみせてくれない?」
「証明って……一体どうするんだ?」
と、リアがそう聞いたその時だった。いきなりミラはリアの腰元の剣……吸魂の剣をいきなり引き抜いた。
「なっ……! ミラ! 一体何して……!」
俺とリアが驚いているのに対して、ミラはニッコリと微笑む。
「簡単だって。レイリアに……リアが自分より強いってこと、証明してやればいいんだよ」
ミラがそう言うと同時に、ミラはそのまま頭をガクッ垂れる。そして、頭を上げたその時には……
「……なんだ? この魔法使いはどうやら阿呆のようだな」
ニンマリと邪悪な笑みを浮かべるミラ……ではなくレイリア。
「……まぁ、いい。別にリアでなくとも自由に使える身体があれば十分だ。礼を言うぞ、アスト」
レイリアが嬉しそうにそう言う。俺はどうしたらいいかわからなかったが……リアは既に理解できていたようだった。
「……レイリア!」
と、笑みを浮かべるレイリアに対し、リアが大声で叫ぶ。
「……なんだ? リア。妾はお前にもう用などないのだが――」
「私と……勝負しろ!」
ミラの言っていた「証明」を、リアは実行しようとしているのだった。
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