第57話 面白くなってきた?
「な、なんだテメェ……いきなり出てきて……」
「ん? ウチはアスト君のパーティの仲間だよ~?」
ミラの独特の雰囲気にアッシュは完全に反論する機会を失っていた。
「ウチのパーティはメディさんを引き抜きたい、君のパーティはメディさんを渡したくない……そんなの冒険者なら実力で解決するのが一番じゃないかな?」
ミラはアッシュにそう説明する。アッシュもいきなり出てきたミラに戸惑いながらもミラの提案を興味深そうに聞いている。
「……まぁ、テメェの言うことも一理あるな」
「え……勇者様、こんな胡散臭い魔法使いの提案に乗るんですか?」
今度はホリアが信じられないという顔でアッシュにそう言う。しかし、アッシュはホリアを宥める。
「おいおい、ホリア。一番良い提案じゃねぇか。アイツらを見ろ」
アッシュにそう言われて、ホリアは俺達の方に視線を向ける。
「あのクソ雑魚アストのパーティ仲間だぞ? 他の奴らも見てみろ? 俺達に勝てると思うのか?」
アッシュにそう言われてホリアは俺達のことをマジマジと見たあとで、わざとらしく笑顔を作って高笑いしていた。
「そうですよね! 勇者様の言うとおりです! 勇者様に楯突くゴミにはきちんと教育をしてやる必要がありますね!」
「あぁ、その通りだ……で、いいんだよな? 今の提案を俺達は受け入れるぜ?」
アッシュはそう言ってリアの事を見る。この感じだとおそらく、リアは……
「あぁ! 受けて立とうじゃないか!」
……予想通り、リアもまったく戸惑うことなくその提案を受け入れてしまった。
「フフッ、面白いことになってきてねぇ~」
俺のすぐ側で小声でそう言いながらニヤニヤするミラ。やはり、ミラはまともじゃないようである……
「……どうするのよ、これ」
メルが困り顔で俺にそう言ってくる。
「あ、あはは……どうすればいいんでしょうね……?」
俺も仕方なく苦笑いしてそれに返答するしかなかった。
こうして……俺達は、俺がクビになったパーティの面々と対決することになってしまったのであった。
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