第12話 初クエスト

「……クエスト、ですか?」


 思わず俺は聞き返してしまった。結局、ミラが合流して酒場でまた話すことになった。


「うん。最近君たち頑張っているんでしょ~? だったら、そろそろ少し難しいクエストを受けてみたらどうかなぁ、って」


 ニコニコしながらそういうミラ。この人……やはりなんとなくどこか胡散臭い。


「……どんなクエストですか?」


「簡単なクエストだよ。近くにある廃坑にオーガが住み着いちゃったらしくてさ。それを倒してくれってクエスト。ギルドで受けてきたから、それ以外にやばい要素はないはずだよ?」


 オーガ……スライムやゴブリンよりも少し強いくらいのモンスターだ。俺やリアのレベルでもそこまで苦戦せずに倒せるはずである。


「まぁ……その 内容なら大丈夫な気もしますが――」


「やろう! アスト!」


 と、今まで酒を飲んでいたリアがいきなり大きな声でそう言う。


「おぉ~! 勇者サマ、やる気だねぇ~!」


「当たり前だ! このパーティになって初めてのクエストだぞ! やるよな!? アスト!?」


 酔っているのか、それとも本気で言っているのかわからなかったが……とにかく、リアは完全にやる気のようだった。


 ……まぁ、そこまで心配することもないだろう。たぶん。


「いいねぇ~。じゃ、ウチも同行するからさ」


「ほ、本当か!? それじゃあ……これが初めてのパーティでのクエストになるということだな!」


 リアはとても嬉しそうだ。いや、ヒーラーのメルさんが抜けているんですが、それは……


「うんうん! いいねぇ。さぁさぁ、勇者サマ、景気付けにどんどん飲もう!」


 そう言ってミラはどんどんリアの酒を追加注文する。


「そうだな! よし! 絶対にクエストを成功させるぞ!」


 一方でリアはすでにクエストの完成が確約されたかのようなテンションだ。


 ……本当に、大丈夫なのだろうか?

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