第11話 誘い

 それからしばらくの間、俺とリアはひたすら狩場でゴブリンとスライムを倒しまくった。


 最初リアは変わらず別々で魔物を倒そうと言っていたが……俺が自分一人では不安だということを伝えると渋々共同で狩りをしてくれることになった。


 しかし、ちょっと目を離すとリアはいつのまにか大ダメージを負っていることが度々あった。


 なんというか……リアの方ばかりにモンスターが集まっていくのである。なぜかはわからないが、とにかく、そんな感じなのだ。


 よって、何回かは俺がリアを背負って町に戻り、相変わらずギルド専属のヒーラーに回復してもらうことになった。


「今日も……怪我、されたんですね……」


 その日も俺はリアを背負ってギルドに戻った。


「……すいません、メディさん」


 いつのまにかギルド専属のヒーラーの名前も覚えてしまった。メディは優しい笑顔で対応してくれるが……まぁ、こうも何回も運びこまれてくる冒険者も珍しいのであろう。


「えっと……ヒーラーにパーティに参加してもらうのはどうでしょう? わざわざギルドまで戻ってこなくてもいいですし……」


「……一応、ヒーラーはいるんです。いるんですけど……」


 そのヒーラーが、そもそもパーティでの狩りに参加してくれないのである。もっとも、彼女はレベル93だったし、今更雑魚刈りなんかに同行してくれるわけもないのだが……


「そ、そうですか……私は今はギルド専属のヒーラーなので冒険にはご一緒できないんです……すいません」


「え? なんでメディさんが謝るんです?」


 俺がそう言うとメディは少し恥ずかしそうに俯いてしまった……いや、いっそのこと、新しいヒーラーを雇ったほうがいいのだろうか……?


「アスト!」


 と、そんな折にリアが回復して戻ってきた。相変わらずまるでどこにも怪我していないと言うか……最初から怪我なんてしていなかったように見える。


「リア……大丈夫ですか?」


「あぁ。もう平気だ。経験値稼ぎも終わったし……また一杯行こう!」


 そう言って意気揚々と酒場に向かっていくリア。なんというか……事態を深刻に考えているのは俺だけなのだろうか……


「どしたの~? 悩み事?」


 と、いきなり俺の背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り返ると、そこにいたのは……


「もしかしてその悩み事……ウチなら解決できるかもしれないよ?」


 魔法使いのミラが、どこか妖しげな表情で俺達のことを見ていたのだった。

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