第6話 活動開始

「さて! さっそく今日から活動を開始するとしよう!」


 程なくしてからそう言ったのは、リアだった。


「あ……えっと、リアさん。魔物でも狩りに行くんですか?」


「当然だ。私は勇者だ。いずれ魔王を倒さなければいけない。そのために早くレベルを上げなければな」


 ……そういえば、リアのレベルは確認しなかったな。他の二人はそれなりにレベルがたかいわけだが、リアはどうなのだろう。


「私、パス」


 と、そんな盛り上がっているさなかに、水をぶっかけるが如く、メルがそう言った。


「え……パスって……」


「だって、私、レベル93なんですけど。今更そこらへんの雑魚狩りなんて、馬鹿らしくてやってられないんですけど」


 馬鹿にした調子でそう言うメル。そう言われてしまうと……何も反論できないのだが。


「じゃ、そういうことだから。それなりに強いヤツを倒しに行く時になったら呼んで」


「え……ちょ、ちょっと……」


 俺が止める間もなく、そのままメルは立ち上がると、ギルドを出ていってしまった。


「あ~、ウチもパス」


「え? み、ミラさんもですか……?」


「あはは~、まぁ、だって、ヒーラーの子が行かなくていいっていうなら、ウチも行かなくていいよね?」


 ヘラヘラしながらそういうが……俺にNOと言わせない圧力があった。


「ま、ピンチになったら呼んでよ。助けてあげるからさ」


 ポンポンと俺の肩を叩いて、そのままミラもあっという間にいなくなってしまった。


 気がつけば、パーティメンバーはあっという間に俺とリアの二人だけになってしまっていた。


 気まずい沈黙が流れる……いやいや、ダメだ。なんとかここは流れを変えないと。


「あ……と、とりあえず、二人で行きましょうか」


 と、苦笑いしながらリアの方を見ると、リアはなぜか自嘲気味に笑っていた。


「ハハハ……そうだよな。まぁ、そうなるよな」


「え……リアさん?」


「いいんだ……こういう目に遭うのはもう慣れているから。さぁ、行こうか」


 リアはそう言いながら立ち上がった。しかし、俺には気になることがあった。


 こういう目に遭うのは慣れているって……ということは……いやいや、ここはあまり深く突っ込まない方がいいだろう。


 兎にも角にもメンバーは半数に減ってしまったが、俺とリアは近場の魔物の狩場に向かったのであった。

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