第3話 勇者

「貴様が、アストだな」


 テーブルにつくといきなりそう言ってきたのは……真正面に座っていた少女だった。


 金色の髪に、雪のように白い肌……とは対象的にかなりごつい感じの鎧と大きな剣を装備している。


 格好から見るに戦士か……いや、俺が戦士だから、さすがにどんなにいい加減でも、ギルドも役職を被らせてくることはないだろうし……


「私はリアだ。見ての通り、勇者だ」


 誇らしげにそういう少女、リア……あぁ、勇者か。ということは、この子がこのパーティの主役になるってことか。


「リアさんは有名な貴族のご出身らしいですよ。良かったですね」


 受付嬢がニコニコしながらそう言う。有名な貴族……ね。貴族の娘なのに危険な冒険者をやっているっていう時点でなんだか怪しい気もするが。


「フフフッ……良かったな、アスト。この私のパーティに参加できるのだから。ありがたく思うがいい」


 ……なんだか随分高飛車な感じの子だ。まぁ、装備を見ると、かなり年季が入っていて傷だらけだし、おそらく冒険者としてもかなり熟練なのだろう。


 とりあえず、いきなり頼んでやってきた新しい仲間にしては「まとも」に見える。俺はその時はそう思いたかった。


「で、隣の方は……」


 そう言って、俺はリアの左隣にいる人物に目を向けたのであった。

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