生存者発見!?(2)
「あら? 外かしら……」
「まさかとは思いますが泥棒でしょうか?」
「こんな所までまさかとは思うけど、ちょっと見てくるわね」
私もセカイさんの後に続き、用心しながら家の外へと出ましたが、特に変わった様子はありません。
「置いてある物でも倒れたのかしら?」
そう言ってセカイさんが家の周りを確認してまわっている時でした。
「ウキャアアアアーーーーーーーーーーーーッ!!」
倉庫の方から女性の悲鳴が聞こえました。
それを聞いた私とセカイさんは顔を見合わせ、急いで倉庫へと走り出しました。
倉庫に着いた私達は緊張した面持ちでドアの前に立ちます。セカイさんはゆっくりとドアを開け、中の様子を伺ってます。私はセカイさんの背中越しから、そっと奥を覗きました。決して不審者が怖いとかではありません。あくまでも倉庫には良い思い出が無いからです。
倉庫内の電気のスイッチをつけると。中には一人の女の子が尻餅をついていました。
その女の子は、海を思わせるほど青くウェーブのかかった長い髪、黒を基調としたブラウス、リボン、ハイウェストのミニスカートという服装に、黒いロングブーツという容姿でした。更に特徴的なのは尖った耳と、頭の両側には羊のように丸まった角がついてました。年齢は私と同じぐらいに見えます。
「……コスプレ泥棒?」
「誰がコスプレ泥棒よ!」
私の素直な反応に泥棒さんはなかなか鋭いツッコミを見せます。でも彼女の興奮はそれだけでは収まりません。
「だいたい何なの、この場所? 変な物ばっかり!」
よく見ると泥棒さんの髪の毛にはヌルッとしたものがついていたり、スカートの裾がネズミ捕りみたいなもので挟まれていたり、所々白い粉のようなもので汚れていたりと散々な姿です。
──きっと色々なものに引っかかったんでしょう。少しだけ同情します。
そして、泥棒さんの足元には、あの外国の男の子を模した怖い人形が転がっていました。恐らくさっきの悲鳴はコレだったのでしょう。何をされたのかわかりませんが、あの時私は早々にこの人形を仕舞ったのは正解だったという事です。
能天気な会話をしている私達とは対照的に、セカイさんは険しい表情で泥棒さんを見つめていました。
「離れて……トワ」
セカイさんにしては珍しく警戒を帯びた低いトーンの声。確かに相手は泥棒さんですがここまでの反応をするなんて……。
「この娘、魔族よ」
「…………………………え?」
一瞬セカイさんの言った事が理解出来ず、間の抜けた返事になってしまいました。
その言葉を聞いた泥棒さんも自分が何者かを思い出したかのように態度が豹変しました。
「そ、そう。ワタシの名はシアン! そこの女の言った通り魔族よ。ひざまずいて
とても偉そうに自己紹介をしてますが、威厳があるというよりも……。
「中二病ですか?」
「違うわよ!!」
また彼女を怒らせてしまいました。
セカイさんは未だ警戒をしてますが、私には彼女がそんな危険な感じはしません。正直余り賢くはなさそうな気が……。
「トワ。油断しちゃダメよ。この
皮肉を混ぜつつセカイさんは不敵な笑みを浮かべます。この人が余り賢くなさそうなのはセカイさんも感じているようです。
「何て言うか、マンガみたいですね」
「あんたらワタシの事バカにしてるでしょ?」
魔族のシアンさんが更に不機嫌になり、身体をプルプルと震わせています。
しかし、シアンさんはすぐに気を取り直し、驚きの言葉を発しました。
「まあ、いいわ。まさかこんな異世界で人間の生き残りと出会うなんて」
魔族の勘なのか
「セカイさん……この人まさか、私達がいた世界の…………」
「あら? 気付かなかったトワ。そうよ私達がいた世界の魔族よ」
「えーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
そんな
「変な門があったから入って来たら、こんな別空間に繋がっているなんて……魔力の匂いもプンプンしたから間違いないと思ったわよ」
口の端を吊り上げて笑みを浮かべるシアンさん。何か良からぬ事でも考えているのでしょうか。
「それで、私達をどうする気ですか……」
そこまで言って私はとんでもない懸念が頭をよぎりました。
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