第4話 生存者発見!?
生存者発見!?(1)
身の丈三十メートルを越えるのではと思えるぐらいの巨大な蛇が目の前で鎌首をもたげワタシを狙っていた。ワタシはその怪物にいつでも応戦出来るように、手の上では魔力で作り出した闇の
巨大な蛇はワタシに狙いを定めると、その大きな頭を振り下ろし襲いかかってきた。
ワタシは隠していた翼を背中に広げ、瞬時にその場から飛び立った。そして蛇がワタシを追って頭を上げた瞬間、手の中の闇の刃を放った。
ワタシの攻撃をまともに喰らった蛇は頭と胴体が永遠のお別れをして、ゆっくりと地面に崩れていった。その姿を確認した私は高らかに勝利宣言をした。
「ハーッハッハッハ! この下等生物め、ワタシを食べようなんて百万年早いわ! ……わ……わ……わ………………わ」
ワタシの声が巨大な蛇の死骸と、かつて存在した文明の破片しかない荒地に虚しく響き渡る。
「あーっもう! こんな知性の欠片も無い奴に啖呵を切って何が楽しいのよ。本当、誰かいないの?」
ワタシは溜息をついて、ゆっくりと地上に下りた。改めて周りを見回しても人の気配は全くない。それどころか、もう気が遠くなる程の長い間人間を見ていない。いるのは怪物のように巨大化した本能だけで動いている下等生物ばかりだ。
文句を言おうが喚こうが何の反応も無いこの大地に落胆し、ワタシはトボトボと歩き始めた。
「なに? あれ……」
ワタシの視界に不可思議な光景が現れた。
荒れ果てた大地の中、壊れた塀が立っている。別にそれ自体は珍しくはないが、真ん中にある門は風化などせず綺麗に形が残っている。それにこの門からは魔力を感じた。
「パッと見は他に何も無いけど……」
ワタシは門を開け、通り抜けた。
「……え?」
さっきまでの荒地とは一変、木がうっそうと茂った森の中に出た。人の手が加えられているのか山道のようなものが奥へと続いている。
明らかに人工的に作られたであろうこの空間をワタシは警戒をしつつも期待を抱き、奥へと進んで行った。
ふと、木の隙間から家らしき建物が見えた。
「まさか、ここに人が住んでいるの?」
ワタシはその家を偵察するために気配を消し、素早く壁際へと移動した。
〇 〇 〇
────忘れましょう。
今日、お店は定休日。新商品の開発も、私達のいた世界の事も忘れて家でのんびりと過ごしましょう。
そんな完全オフモードの私は自室のベッドの上で最近買った本を読んでいます。恋愛小説です。私には縁遠い世界の話なので疑似体験みたいなものです。ちなみに百合要素は入っていません。
「たまには現実逃避も必要ですよね」
ゆっくりと流れる穏やかな午前のひと時。それを壊す勢いで部屋のドアが開きました。
「トワ。せっかくの休みだし、街に一緒に遊びに行かない?」
「……出来れば今日は家で大人しくしていたいのですが」
突然の台風の襲来に私のテンションも下がってしまいます。しかし、そんな事はお構いなしにセカイさんは私に迫ってきます。
「でも普段もお店の中にこもりっきりだし、外にも出ないと身体に毒よ」
「う……」
痛いところを突かれました。私の日常は殆どが店と自宅の往復だけですから、それを言われると弱いです。だけど不老不死の私が身体に毒なんて事があるのでしょうか。
何か断る良い口実がないかと考えていたその時でした。
──ガタンッ!!
どこからか大きな 音が聞こえました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます