第4話 異世界リンク

「うーん…なんか寝たりない〜」


生徒が目覚めた事でBの声が聞こえなくなった。Bとは何者なのだろう、もしもこの異世界とBもリンクしていたならば、何処かにBは居るはずである。何よりもBは自分の事を知っていた。つまりBは身近に居る可能性がある…


『誰がBなのか…私の親というぐらいです…この学校の先生でしょうか?』


シェラが言う可能性も有り得る。教師ならば、自分を知っていてもおかしくないし、学校が化け物を寄せ付けないのも納得がいく。


今日は午前授業のため、この授業が終わると帰宅する事になる…外が化け物だらけじゃなければ楽しく帰れただろう。


授業が終わり、帰りの会が始まる。玲音は先生の話など聞いていなかった。そんな事より、この化け物だらけの中でどう帰るかを考えなければいけない。


『戦うしか無いでしょうね…』


シェラの言う通り戦うしか無い…だが、Bの正体が先生かもしれない。


Bに関する情報が欲しいが探る手が無かった。ここは帰ろう…玲音は覚悟を決める。


今日の下校はいつもと違っていた。


いつもは沢山の生徒がお喋りしている中を帰っているが、今日はそこに化け物も加わっている。


玲音は他の生徒が帰るのを待った。誰も居ないところでなければ化け物と戦う事は出来ない…。


生徒がドアを開いて外に出ても隙間から化け物は来ない。やはりこの学校には結界のようなものが張られているのだろうか…


玲音は周りに誰も居ない事を確認し、刀の柄を握った。定規の時より立派な刀身が現れる。これだけでも定規を持つよりマシだ。


玲音は意を決してドアから勢い良く外に出る。それを見た化け物は順番が決まってるかのように一体一体で向かって来た。


「せぇい!」


玲音は向かって来た化け物を真っ二つにした。そして、片方の手に雷の力を集める。


溜まった雷の力を玲音は身体の周りに纏った。まるで電気のバリアだ。


電気のバリアは効果的で、バリアを纏った玲音には誰も近寄ろうとしない。


玲音は周りのバリアに力を加えた。そして、加えた力を思い切り周りの化け物に解き放つ。


化け物に雷の力が効いたのか次々と消滅していく…。玲音の力に恐れをなした化け物は次々と退却し始め、しばらくすると化け物の気配が無くなった。


「良かった…」


玲音はその場に座り込む。子供向けの本にバリアの事が書いてあり、それを読んで応用し電気のバリアを作ったのだ。


『玲音…何故あの化け物達は集団で攻撃しなかったのでしょう…集団で攻撃すれば玲音を倒せたのではないでしょうか…』


シェラの分析に勘弁してよと玲音はつっこむ。確かにシェラの言う通り集団で来られたら大怪我していただろう…それどころか死んでいたかもしれない。


そう考えれば、何故化け物は順番で来たのだろう…最初から倒す気が無かったのだろうか。だが、化け物は玲音が学校から出るのを待っている様子だった。


もしや、本気で倒す気が無かったのではないか。玲音がそのような事を考えていると身体に力が湧いて来る。


『化け物を倒した数に応じて異世界ではレベルが上がります。レベルが上がればより規模の大きい具現化や高パワーの魔法が使えます』


ゲームみたいだ。玲音のレベルは先程まで5だったが、大量の魔物を消滅させた事により一気に20まで上がった。


いくら何でも上がりすぎでしょう。


玲音はそう思いながらも、電気の力を試す。前よりも強く、前よりも速く力を使える気がする。


「そういえば、さっき寝ていたクラスメイトはBに乗っ取られていたよね?それって俺の意識が眠ったりしてれば、シェラが俺の身体乗っ取れるの?」


シェラは可能であると話す。


すると、玲音はベンチで横になると昼寝をし始めた。


「今から寝るからやってみてよ」


玲音はそう言うと眠りにつく…


シェラは玲音の言う通り、身体に憑依しようとしたが、身体が動かない。


それどころか、徐々に異世界と現実世界のリンクが弱まる。玲音が眠りにつくと同時に異世界と現実世界のリンクは切れた。


〜異世界と現実のリンクルール〜

・異世界のものは現実とリンクしてる者で無ければ見れない


・異世界の力は現実に干渉しない


・異世界の力で飛べなくても翼は生えない


・元凶であるBを倒せばこの騒動は終わる


・異世界の化け物を倒せばレベルが上がる


・意識が無ければ異世界の人間は憑依する事が出来る。ただし、自由には動かせず意識を入り込ませるだけ←new

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る