第2話 囚われたリエナ(1)
ゆっくりとリエナは目を覚ます。
まだ頭が、ガンガンする。
手を動かそうとすれば……体が何故か1ミリも動かない。
なにこれ?
そうリエナは思った。
体の自由が聞かない。
よく見れば豪華なベットの中にいてはいるが、体が衰弱しきっている。
しかも辛そうに息をするあたり何かの状態異常だろうか?
暑くまた、少し熱っぽい。
普段ならば、体を動かし服を脱いでいるところだろう?
リエナが呻けば
「なんだ、起きたのか? フルヴァル家のリエナ嬢?」
そう言われてリエナは真横をみた。
綺麗に装飾された椅子に座りこちらを眺める男性にリエナは戸惑った。
やはり、あの場で天使と密会していたのは魔法王シルエだったのだ。
「陛下、その、なぜ私は捕らえられているのでしょうか?」
そう恐る恐る聞けばシルエが
「なんだ、見たのだろう? 俺が誰と恋をしていると口外されては困るのでな?」
そう言われてリエナは絶句した顔をした。
「それとフルヴァル家当主にお願いして君の魔法の師になる事にしたんだよ、どうだろう? いい案だと思わないか? なぁ、リエナよ」
そう言われてゲッとした顔をした。
魔法王の授業料は高額と聞く。
それは、1級高位魔法使いが教えるからだろう?
そんな高いお金、毎回そうそう支払えるはずもない。
「お言葉を返すようですが、陛下? 我が家に1級高位魔法使いを雇うお金はありませぬ」
そう言えばクスリと笑われた。
「そのような心配はいらない、君は今日付けで俺の婚約者と言う扱いなのだからな、そしてその婚約者の教育をするのも同理にかなっていると言うだろう?」
そう言われてわかった。
この人は自分の独身と言う立場を利用したのだ。
確かに表立った発表していない以上、これが正式な形となる。
しかしこんなのはリエナからすれば冷たいナイフの刃をずっと首筋に当てられるような物だ。
「謹んでお断りを……あつつつつ」
そう言い替えた瞬間、彼の魔力が解き放たれ鋭い痛みが体に流れこんだ。
辛そうに息をして何とか意識を保てば
「お代わりが欲しいか? リエナ、俺はお前に譲歩しているんじゃないぞ? 俺の物になれと命じているんだ、そこを履き違えるな」
その力強い声にリエナは怯えた。
「お前には、優しく言っても、やはりわかって貰えぬらしいな? ならば、お前の師として命じようか? 俺に逆らうな、いいな?」
そう言われてリエナはぐっと悔しそうに唇を噛み締めた。
「そうそう、それと、クエンリオ伯爵のところのリオだが、あいつには近々戦場に行ってもらうことにしたから」
そう言われて目を見開いた。
「なんて事を? 彼は私の婚約者なのよ?」
そうな気叫べば
「婚約者ねえ? あんなのがか?」
そう言われてリエナは俯く。
「お前を養うのは俺一人で十分だ、お前に婚約者は2人も要らぬ」
そう言われてリエナは涙を流した。
リオのことは本当に愛していたからだ。
きっと、戦場に送られたとなればもう会うこともないだろう?
しかもこの男は、確実にリエナの身動きを確実な方法で塞いで来ている。
「あのね、陛下? そんなにあの女性が大切なら、私ではなく彼女を捕らえられては如何ですか?」
そう言われてリエナを睨みつけると
「彼女をそんな気安くお前が呼ぶな!」
そう怒鳴られてリエナはため息をついた。
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