第3章 PvP大会編
第29話 登録 Entry
4月8日ー「レベル20以上限定
詳細が発表されてから数時間後。
大会に出場する為に
その会場には大勢の
「これ全員参加するのかな?」
リナが戒斗に聞く。
「そうだろうな。それにしてもえらい数だな」
周りを見渡すだけでも数千人はこの広い
戒斗は5人を代表してATMのような機械に
即座にエントリーは完了し、参加アカウントの合致が確認された。
すると画面には戒斗の所属するブロックが表示された。
【あなたの
詳しい説明を見てみると、レベルによってブロックが分けられているという。
それが以下の通りだ。
・Aブロック LV.1001〜LV.9999
・Bブロック LV.601〜LV.1000
・Cブロック LV.301〜LV600
・Dブロック LV.101〜LV.300
・Eブロック LV.20〜LV.100
戒斗は登録を終わらせると4人にDブロックに配属されたことを伝えた。
「えー?!D?!」
「仕方ないでしょ?翼。以前の私たちなんてそれよりも下だったのよ?それに比べたら良い方じゃない」
翼が低いレベルに配属された事に不満を抱くが、リナが納得を促した。
「それにしても、賑わってますね。」
ツカサが周りを見ながら言う。
周りには大勢の
(あれは勧誘か)
「
戒斗が周りを見渡しながら話す。
それを聞いてツカサは戒斗に聞く。
「ということは僕らも1人
何やら少し焦っている。
「いや、そのつもりはないが…その方が良いのなら検討するが……」
すると全員一致でNOの返事が来た。
今から知らない人をグループに入れるなんて嫌という意見。
弱い奴が入ってきたら嫌だという意見。
自分が参加できなくなってしまう可能性が出てきてしまうのでできればしたくないという意見。
このメンバーで参加したいという意見。
誰がどの意見を言ったのかは伏せておくが。
とにかく、この4人は今はまだこのメンバーでやっていきたいようだ。
「そういえば、説明書きされてた"LANK(ランク)"って具体的に言うとなんなんだ?」
翼が問いかける。
「翼、お前さっき来た通知見てないな?説明されてたぞ。"LANK(ランク)"っていうのはな。自分の力をレベル以外で証明する数値のことだ。高ければ高いほど強者と見られるらしい。だからあれだ。お前がレベル以上の能力を持っていると言うのであれば、その数値で証明されるって訳だ」
戒斗は丁寧に翼に説明する。
つまりレベルだけで見られるシステムの終了をある意味提示していた。
戒斗はとても良いシステムだと思っていた。
レベルが高くてもそれが本当にその人の実力かどうかは判然としなかった。
それがこのシステムの導入で大きく分類分けがされる事で大きな差別は無くなると考えていた。
「その"LANK(ランク)"の評価基準はなんだよ?」
翼は強く聞く。
どうやら興味が大有りらしい。
「今回の大会での相手プレイヤーの撃破数とか、生存時間とか、蘇生数とかだったか」
戒斗は手を顎に当てながら答える。
「かなりプレイヤーによって細かく分かれそうですね」
ツカサが言う。
「まぁ、細かい事はわからないんだがな」
戒斗は昼頃、一旦メンバー全員がcontactを中断した際、ネットサーフィンによって情報を得ていた。
「つっても個人の数値じゃねーんだろ?グループ内の"LANK(ランク)"っていう扱いなんだろ?」
「まぁそうなるわな。それが嫌なら翼。1
戒斗がニヤリと笑って見せる。
「1
「1人でも
翼はそれを聞いて
「冗談だよ!」
と言った。
すると後方からざわつく声が目立ってきた。
「なんでしょう?」
ツカサが不思議そうに後方を見る。
何やら人が入ってきたようだが、大きな人だかりになっており確認する事がここからはできなかった。
そしてその声は近づいてきて、周りで賑わう人たちの声が明らかになってきた。
「是非!うちの
「何言ってんだ!俺の
男女問わずたくさんの
「だれだ?」
「さぁ、見えないわ」
大きな人だかりが戒斗たちの前を塞ぎ、野次馬の大元を辿る事は叶わなかった。
だが、戒斗は見た。
持ち前の身長(175cm)を駆使し、その
それは1人の"少女"だった。
黒い艶のある髪はショートボブのように肩まで伸びていない髪の長さで、顔立ちは整っているが童顔。
少し恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
服装は小さな身体をしていながらも頭の冑を取り外した鎧を身に纏っており、後ろにはマントまで靡かせていた。
(あれは強そうだな……)
戒斗は目を光らせた。
例え童顔おかっぱちゃんだとしてもこの世界での強さは見た目だけでは判断できない。
それにこれだけ人が集まり勧誘しているということは強いのだろう。
童顔の少女はピタリと足を止めた。
「どうしたリンちゃん?俺らと一緒に来てくれるのか?」
1人の男が両手を大きく広げながら言った。
リンが口を大きく開け、発言しようとしたその時。
「ゴミが集ってんじゃねーぞ!道を開けろ!」
荒々しく登録会場に入ってきた男。
背丈は180cm以上あるだろうか。
巨大な身体に大きな鎧をまたも頭だけ取り外したような格好。
頭には装飾品か、2本の鹿のようなツノが生えていた。
髪は銀髪で後ろまで伸ばしていた。
顔はすらりと整った顔立ちに鋭い目。
口には犬歯らしきものも覗かせていた。
「げ、"
周りの
「"デビパ"か、」
「"デビパ"だな」
「"デビパ"だ」
「デビパデビパうるっせぇんだよ!!全員ぶち殺すぞ!」
周りでその名前を口に出していた
まるでその男に発言権を譲るように。
「お前ら低レベルな奴らにコイツは似合わねーよ。つーか、力が釣り合わねぇ」
最もな事のか、周りの
「だからよぉ?リン。俺と組もうぜ?!俺の
辺りがざわつき始める。
その名前を聞いたことがあるからだろう。
だが、戒斗には全く聞いたことのない単語だった。
戒斗は周りの言葉を拾っているとそれは巨大な"四大ギルド"の1つとして確立している勢力であることまで把握できた。
こここらは戒斗の仮説だが、きっとあのような気性の荒い人ばっかりが入るんだ、全員気性が荒いに違いない……と思った。
"
「ごめんなさい、ギラさん。私は今回も1
更に周りがざわつく。
「おいおい!冗談きついぜ?!今回は確実に
「でも!」
ギラの言葉を遮るようにリンは大きな声を上げた。
「それでも、私は1人で戦いたいんです」
「そうかそうか!じゃ、お前から叩き潰してもいいわけだな?!」
「構いません。何人受けて立ち立ちます」
リンの鋭い眼光にギラは笑った。
「その気迫、流石は"
何故だか、1.5倍ほどある身長の男が怖気付いているように感じた。
戒斗は、ということは2人は同じブロックにいるということか……Aだろうなーと考えていた。
何故あれだけリンと呼ばれる童顔少女が大勢の
だがよっぽど強いのだろう。
野次馬が解散し、いつのまにか騒動の大元の2人も姿を消していた時、戒斗は4人を連れて外に出る事にした。
外に出るとリナは今まで息苦しかったかのように大きく深呼吸を始めた。
「にしても、なんだったんだ?今の奴ら」
戒斗のその言葉にツカサ除く3人は慌て始めた。
「ばっ!カイト!それはいくらなんでも世間知らずすぎるだろ!」
「そんなことも知らないで生きてきたの?!」
翼とリナから驚きの声が上がる。
「おい翼。今普通に"ばっ"とカイトを合体させてバカって言ったよな?」
「そんなことはどうでもいい!」
(いやよくはねぇよ)
「今の人たちはこの世界の上級者の中でも上級者。一握りしかいないと言われている超上級者よ!」
「それにさっき"リン"って呼ばれてた人なんか現クロミナ界最高レベル保持者だよ!」
「ま、まじか!」
まさかとは思ったが、本当に最高レベルだったのか。
「因みに何レベルだ?」
「調べれば出てくるよ最新のが!俺が見たときはレベル4695だった!」
「レベル4695……!」
戒斗はネットで調べた最高レベルの保持者であったことに驚いた。
それに経験値も高そうだ。
きっと俺の放置した5年もクロミナをやっていたに違いない。
(俺が歩みたかった道だな)
戒斗は1人でそう思った。
その日は明日の最終準備をした。
道具を新調したり、報酬で得た金や銀で武器を強化したり、レベルUPの報酬として貰えた"輝石"でガチャを回したりと出来ることを全て行った。
戒斗は特に魔力を上げた。
今回のクエストで魔法がかなり使う物だとわかったので全て平均だったステータスパラメータを魔力だけを伸ばした。
その結果、使用可能魔法が以下の通りになった。
【紫:伝達魔法=
(※現状上限 7人)
【紫:浮遊魔法=
(※現状上限 浮かせるモノのレベルが180以下)
【紫:視覚補強魔法=
【紫:視覚補強魔法=
(※現状射程距離 半径7キロ)
【紫:行動補強魔法=
(※魔力消失で効果が切れる)
【紫:標準操作魔法=
(※ 触れた対象のレベルを1秒に1レベル下げる)
意外と使える魔法が増えていた。
そして組み合わせれば微弱な力も大きくなると感じた。
戒斗達は空を赤色に染める夕陽を見ながら解散する事にした。
この後は各々で自分の調整をする為に。
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