第24話 探索クエスト④ In the cave
戒斗達はクエストの目的地である洞窟の前に来ていた。
何もなかった平地に突如現れた目標の旗と、その地面にぽっかりと開いた下へと続く階段。
先を見てみても灯はなさそうだった。
「ここか!」
翼が何も考えずに進もうとする。
その動きを戒斗は止める。
「待て翼。ここは俺が先に見てくる。お前はリナの光魔法で照らしてもらいながら後ろからついて来い」
「何?!そ、それで宝を1人占めするつもりだろ!」
その発言にリナが答える。
「翼、今まで戒斗がそんな事するような人に思えた?」
すると翼は少し俯いた様子で
「ま、まぁそんな事は無いとは思ってるけどよ……」
「翼。別に俺はお前が先に行ってもいいんだ。けどな。この先はお前には進めないと思うんだが」
戒斗が指差す地下に続いているであろう真っ暗な階段を見て翼は考えを改めた。
「よし、じゃあ後からついてきてくれ。何かあったらすぐに報告する」
戒斗は1人で階段を降りていった。
*
戒斗は洞窟に入るとこれが暗視レベルMAXか、と感動していた。
普通の人ならば洞窟の中を目をつぶって歩くような暗さだが、戒斗にとっては道路のトンネル並みの明るさで洞窟を進む事ができていた。
そしてたまにあるトラップも引っかかる前に対処し、全て無力化していった。
(これは俺にぴったりなクエストだったな)
戒斗は得意げに思った。
例え、金の魔法で照らしながら進んだとしても足元にあるトラップには気づかない可能性が高い。
それに比べて全て見える戒斗には足元はもちろん暗い場所など無かったのである。
5分くらいだろうか。
戒斗が歩いていると目の前に木でできた扉が現れた。
扉の左右には
戒斗はこんな洞窟には似合わないと感じた。
その木の扉は黒ずみ、だいぶ年季の入ったデザインだったが、周りを岩で囲まれたこの洞窟に木の扉はあまりにも不自然に思えた。
戒斗はその扉を開ける前にグループメンバーを集める事にした。
使うのはチャットではない。
【紫:伝達魔法=
((みんな、聞こえるか?))
戒斗は確認を取ってみる。
するとその瞬間に幾つかチャットが飛んできた。
ちゃんと機能しているようだ。
((洞窟の先に扉を見つけた。道中の
それを聞き取ったのか、戒斗の後方から誰かが走ってくるのがわかった。
真っ暗な闇の中を走ってくるのは、翼だった。
翼は微かに見えていた松明の光を目掛けて走ってきたのだろう。
「トラップが無いんなら安心して走れる!!」
翼は道中の
扉の前に着くと呼吸を整えながら、
「ここがダンジョンか?面白いじゃねーか!」
と強気な意思を見せた。
その5分後にリナ達3人はやってきた。
遅い、と翼は怒っていたが、3人は気にしていなかった。
お前が早いんだよ。
などと言う気持ちは押しつぶして。
「じゃあ開けるぞ」
翼がドアノブに手をかける。
そして開けると。
1つの宝箱が4体の銅像に囲まれる形で置いてあった。
翼はそれを見ると
「うおーー!」
と言いながらその部屋に突撃して行った。
「ま、待て翼!中にはどんなトラップがあるか……」
中を見ると光が差し込んでおり、トラップも無さそうな空間だった。
大理石のような地面に囲まれ、上は吹き抜けとなっており光が宝箱周辺に射し、神聖さすら覚えてしまうほどの場所だった。
翼が何も考えずに宝箱の置いてある台に登ろうとしたその時。
ゴゴゴ、と何か重たいものが動き始めるような音が響いた。
それは宝箱の周りにいた4体の銅像だった。
1体目は顔の前に剣を構えた西洋の鎧に身を固めた騎士で、2体目は大きな盾を持った同じ鎧に身を固めた騎士。3体目は弓を、4体目はなにやら魔法が出てきそうな杖を構えていた。
(まさか)
戒斗は嫌な予感がした。
その予感は的中したのであった。
その4体の銅像は動き出し、翼目掛けて進行を始めたのだ。
思わず叫び声を上げる翼。
やはり宝箱はそう簡単には取らせてはくれないか。
翼以外の4人も中に入る。
さらにその瞬間。
扉が消滅したのである。
これで外へは出れなくなった。
「ゲームでよくある展開ね。この敵を倒さないと外へは出られないっていう!」
リナはなぜか燃えていた。
(というかリナはゲーム好きだよな、きっと)
戒斗は以前の聖剣の話を思い出しながら思った。
そして4体の銅像から逃げ回る翼の方を見た。
(さて。どうやってこいつらを攻略するか)
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