第20話 ガチャタイム Get the items
共通ギルドを出た戒斗たちは第8区の大通りである「クロス」に来ていた。
ここにはクエストや武器の整備等に使用する道具を売り買いしている道具店や、武器や防具の販売をしている武器屋、武器や防具の整備をすることができるレベル50以上の
ツカサは目を輝かせていた。
戒斗は5年前以来来ていなかった為、目新しい物ばかりで興奮していた。
そこには
それぞれ自分のやりたいことをやっていた。
翼、リナ、ミズキは何度か足を踏み入れたことがあるらしく、プレイヤーの数には驚いていない様子だった。
戒斗一行はまずそれぞれ2個ずつ持っているガチャを引くことができる超レアアイテムの"輝石"でガチャを引くことにした。
もしも武器屋で武器を買った後にガチャを引いて被ったら嫌だから、という真っ当な理由である。
因みにレベル変動による輝石の獲得はレベル変動から24時間後にメールで届く為、その輝石を使ってのガチャはまた後日だ。
ガチャが設置されている場所の前に行くとツカサは少し驚いていた。
「ここだけなんか新しいですね」
その言葉に戒斗も頷く。
「だよな。景観壊してるよな」
するとリナが発言する。
「実はちゃんとした理由があるらしいよ。あの遠くに見える高層ビルもこのビルも、上の階にあるのは全てシステムを制御・管理するスーパーコンピュータらしいわ」
翼も反応する。
「あ、それ聞いたことあるぜ。あれが壊れたらクロミナの世界が滅びる、とかなんとか」
「そんな話もあるのか!」
戒斗が感心する。
「まぁ全て噂なんだけどね」
「ふーん、」
「そんなことより、早く行こうぜ!」
どうしても早くガチャを引きたい翼は余談などどうでもよかった。
中に入ると結構沢山の
ガチャ機械を探したが、5人で1台しか見つけられなかった。
2階へ行けばあったかもしれないが、ここで順番で1人ずつ引くことになった。
さぁ、誰から引くかという話になり、翼が年齢順にしようぜと提案したため、特に異論はでなかったのでその案でいくことになった。
ミズキ→戒斗→リナ→翼→ツカサの順だ。
ミズキは特にチャットを打つこともせずガチャを2連続で引いた。
1回目にでたのは防具。
【聖装具・パルティア=ヘッド】LV.1
自身のレベルアップと共にこの防具のレベルも上昇していく。
〔特殊能力〕魔力+500
防御力870/耐久値620
「わあ!いいなぁ!【
リナが声を上げる。
防具はそれぞれ
1つ装備するだけでも十分力は発揮するが3つ、しかも同じシリーズ、同系統のもので揃えるとさらに力が上がる。
まぁ中にはキャラクターがすでにそれ専用のフルセット防具を装備している状態で排出される場合もある。
【聖騎士】シリーズはそれだ。
ミズキは2回目に引いたガチャを確認する。
道具だった。
【生命の聖水】
この道具はプレイヤー1人を気絶状態から完全回復させることができる。
(所用時間1秒)※使い捨て使い切り。
(なにそれ欲しい)
戒斗は素直に思った。
その道具を使う事でグループメンバーが気絶状態になった時に蘇生に必要な20秒という時間を完全無視し、1秒という短時間で蘇生させることができるという事だ。
これはグループメンバーが持っていてくれるだけで心強い。
翼も素直にその道具の存在を褒めていた。
リナはテンション上がりっぱなしの様子だった。
ツカサは緊張でガチガチだったが、ミズキのガチャリザルトを見てパチパチと拍手を送っていた。
次は戒斗だった。
ぶっちゃけ言って欲しいものはあまりなかった。
防具も武器も最高レベルだからだ。
でも強いて言うのなら道具が欲しい。
備えあれば憂いなしと言うからな。
(もしもの時の為に!)
そう懇願した戒斗だったが、果たして。
戒斗は2回連続でガチャを回した。
ガチャと言ってもゲームセンターにありそうな取手をガラガラ回すやつではなく、スクリーンに表示されている「ガチャる!」のボタンを押すだけのいたって簡単な作業。
1回目のガチャリザルトは……防具だった。
それもさっきの…。
【聖装具・パルティア=ボディ】LV.1
自身のレベルアップと共にこの防具のレベルも上昇していく。
〔特殊能力〕魔力+750
防御力1020/耐久値700
まさかのミズキが出したシリーズの今度は
戒斗は無償でミズキに防具をあげることにした。
「ミズキ、これやるよ」
すると驚いたように表情を変え、
[いいの?]
とチャットを打ってきた。
「いいよ。俺は魔法はそんなに使わないからさ。魔法で戦う人に魔法の能力値はあげてもらわなきゃね」
俺はその防具を渡した。
クロミナ界では道具、武器、防具のグループ内だけでの交換が可能である。
もちろん無償で受け渡すことも可能だ。
それがまた面白い。
しかしミズキは戒斗から防具を受け取ると
[ちょっと待って]
というチャットを飛ばしてきた。
(なんだ?)
考えていると戒斗に道具が届く。
[ミズキさんから道具が届きました。【生命の聖水】]
(え?!)
「おい、ミズキ!これ……すごい使える道具だぞ?!それに俺は無償であげるって言ってんのに……」
チャットは返ってくる。
[カイトが持ってた方がいい。カイトが使いたい、使うべきって時に使って]
らしい。
ならありがたく頂戴しよう。
「ありがとな。」
感謝の言葉を忘れずに。
*
さぁ、戒斗の2回目のガチャリザルトを見てみよう。
戒斗がドキドキしながら見ていると……
念願の道具だった。
【薬草】
この道具は味方プレイヤーの体力(HP)を200回復する。
「ぎゃははは!だっせぇー!カイトのやつ!薬草だってよ!」
翼は大声で笑い転げている。
(ぐーで殴ってやろうか。ちょっと高校生の力を見せてやるか)
などと考えているとすぐにリナがガチャを引くためにどいて、と言われる。
(みんな冷たいな)
リナも緊張している様子だった。
画面に表示されたボタンを押すと結果が映し出されるー。
【薬草】
この道具は味方プレイヤーの体力(HP)を
200回復する。
「ぎゃははは!あー、お腹いてぇ!」
翼の正直な反応がリナを怒らせた。
緊張状態にあったリナの感情を一気に怒りの感情へと変化させた。
「あんたねぇ!」
「ま、まぁまぁ…」
戒斗は仲裁に入り、2回目のガチャリザルトを見ろよと催促した。
ガチャの結果を見るリナ。
リナは少し嬉しそうな顔をしてこちらに向いた。
「こんなの出たよ!」
それは防具でもなければ武器でもなく、道具でも無かった。
装飾品だった。
【魔道士の指輪】装着:
これを装備すると以下の効果を得る。
・魔力(MP)+500
・体力(HP)+200
・毒無効
普通に使えそうである。
装飾品とは、自分の
中には装飾品だけでステータスを何千と上げているプレイヤーもいるらしい。
獲得した指輪をリナはすぐに身につけたようだ。
「さぁ!次は俺様だな!」
翼の番だ。
散々俺らを罵ってきたんだ。
ここで薬草でも出したもんならどうなるかは知ってるんだろうな?
戒斗は伝わらない威嚇を心の中で叫んでいた。
翼が結果を見るとうおー!、という声を上げた。
(うそ)
まさかめっちゃいいのでちゃった?
「見ろよ皆んな!カッコいいぜ!」
自慢げに獲得した物を見せてくる。
武器だ。
【龍装剣=ドラグニティ】LV.1
自身のレベルアップと共にこの武器のレベルも上昇していく。
黒龍の皮で作られたその刃は高い能力を持っている。
攻撃力2050/防御力1520/耐久値500
まじかよ……。
一番与えてはいけない武器を一番与えてはいけない人に当たった。
また厨二会話が広がるな。
「よっしゃぁ!俺の愛剣にしよっ!」
翼は2回目のガチャリザルトを見る前に武器の変更を行う。
「おい、翼。お前愛剣の"白夜刀"はどうするんだよ?」
戒斗が聞く。
「あー、なに?世代交代ってやつ?」
(あいつ絶対亜空間に入れるな。まぁ、強くなって良かったな)
ハイテンションな翼は2回目のガチャリザルトを見る。
しかし、急にハイテンションじゃなくなった。
どうしたんだろうと思った戒斗らは翼に何が出たか聞いてみる。
しかし応答がない。
仕方なく少し強引に翼の方に寄って行って出た物を確認する。
と、そこには。
【薬草】
この道具は味方プレイヤーの体力(HP)を200回復する。
「………」
「………」
「………」
[………(⌒▽⌒)]
「なんか言えよっ!」
翼が恥ずかしながらこちらにツッコミを入れてくる。
(いいんぞ、翼。照れ隠しにツッコミなんてしなくて。俺らは優しいからな。生暖かい目で見るだけで勘弁してやるよ)
くっそー!という翼の声を聞き流し、ツカサのガチャを待つ。
2回連続で結果を見たようだ。
【天使の怒り】
この道具は悪魔族の敵に10万のダメージを与える。
【リフレクター】
この道具はいかなる敵の魔法も跳ね返すことができる。
※使用制限10回
2つとも道具だった。
それも中々使いどころによっては強い。
1つ目の水晶玉の形をした道具は悪魔に効果抜群らしい。
というか悪魔しか効かないみたいだ。
(でも10万ってすごいぞ?)
単純計算戒斗の魔滅剣一振りと同じ攻撃力だ。
ツカサがもしも悪魔に遭遇したら使えばワンチャン勝てそうだ。
2つ目の武器は手鏡型の魔法攻撃の完全反射道具。
10回だけだが、敵が魔法メインのクエストならとても活躍するだろう。
しかし、戒斗としては今のところ1番レベルが低いツカサには防具が出て欲しかった。
今となってはしかたないが、少しでも気絶する可能性を減らしたい。
それは皆んな思っていることだろう。
まぁ、武器屋で多少揃えるだけでも充分だろう。
クロミナ界のお金であるG(ゴールド)もかなり手に入ったからな。
戒斗一行はガチャ施設を出て、すぐ近くにある武器屋へ向かった。
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