第19話 クエスト報酬 Remuneration
全員揃った戒斗らは共通ギルドに向かった。
歩いていると周囲のプレイヤーからチラチラ見られた。
(なんだ?なんか俺たち変か?)
戒斗たちはそんなことを考えているうちに共通ギルドに着いた。
するとすぐそこにはショートヘアーをなびかせるピンクの色がトレンドマークことクエスト受付嬢「サクラ」さんが待っていた。
こちらもNPCAIである。
「お待ちしておりました、カイト様御一行の皆様」
いつもとは様子が違う。
本来ならば受付で待機しているはずだが、ご丁寧に入り口までお出迎えだ。
「なんでカイトのグループなんだよ!俺様のグループだ!」
翼は戒斗の名前でグループが呼ばれたことに納得いかないようだ。
「さ、クエストの報酬をお渡しします」
行きましょう、とクエスト受付嬢のお姉さんは報酬受け取り口へ歩いていく。
(クエストの報酬?)
戒斗は流石におかしいと思った。
「あの、俺たちクエストを
戒斗の言葉に4人は一斉に足を止める。
「確かにそうよね。おかしいわ」
リナも疑問を口にした。
しかしクエスト受付嬢は依然として報酬受け取り口へと進んで行く。
ますます変だと戒斗は感じた。
そしてクエスト受付嬢は
「今回あなた様方が受けたクエスト完了の通知はこれですね?」
と、5人に向けて1通の通知メールを送った。
5人は画面に表示されたクエストの内容を確認する。
(なんだこれ?!)
そこには「緊急クエスト 魔王軍襲来」とあった。
リナとツカサが声を上げる。
「お姉さん!私たち、こんなクエスト受けていません!」
「そうです…僕たちが受けたのはお花畑のやつで……」
「しかもそれも
お姉さんは動じずニコッと笑うと
「いえ、あなた方様は確かにこのクエストを受けました。そんなご謙遜なさらないでください」
(どういうことだ?)
戒斗は考えた。
(「お花畑でお花摘み」のクエストに「緊急クエスト」が上書きされたってことか!)
つまり今出回っている情報から判断されていて、あの場にいた、そして悪魔が倒されたという情報だけで勝手に解釈されてるってことだ。
(弁明するべきか?)
戒斗が悩んでいると翼が戒斗の耳元で囁いた。
「まぁいいんじゃね?貰えるもんは貰っちゃおうぜ!倒した本人が出てこないなら仕方ないじゃん?」
ミズキも頷いていた。
リナとツカサは頭を抱えていたが、結局そのクエストの報酬をもらうことになった。
「では報酬をお渡ししますね」
「サクラ」さんが自分の受付の椅子に座ると1人1人に通知が来た。
これがクエスト報酬である。
「なんだこれはぁぁ!?」
翼が大きな声を上げたものだから驚いた。
「なんだよ翼。静かにしろ」
戒斗が呼びかけると翼は通知を見ろというジェスチャーをしていた。
(なになに)
戒斗は通知を見た。
【クエスト報酬通知】
クエストクリアおめでとうございます。
ここに表示されているのはあなたのクエスト報酬です。
・経験値50.000.000
・G(ゴールド)350.000
・輝石×2
・鉄鉱石×20
・金×25
戒斗は翼が大声あげたのも理解できた。
経験値5000万である。
これは低レベルプレイヤーにとっては考えられないほどの経験値だ。
するとすぐに自身のステータスに経験値が反映される。
全員「ディスプレイ」と言うと新しく更新されたステータスが表示された。
そして気の向くままに与えられたPointを数値に入れた。
【カイト2026】 LV.21→239
Point/13.500→0
体力(HP)/120→2250
攻撃力(AT)/120→2250+120(武器分)
防御力(DE)/120→2250
素早さ(QU)120→2250
特殊(SP)120→2250
魔力(MP)120→2250
【短剣アルス】LV.3
攻撃力120/防御力105/耐久値106
※放置によるレベルアップのため経験値によるレベル及び能力値の変動はありません。
一気に200レベだ。
だが、戒斗は何故かあまり驚けなかった。
(あ、そうか。もう最高を知ってるからだ。そうだそうだ)
他の4人も等しくレベルは上がっていた。
みんなでステータスを見せ合った。
リナは戒斗と同じレベルの239。
翼はレベル250。
ミズキは245。
ツカサは173だった。
皆んな自分のステータスを何度も見て嬉しそうにしていた。
これで高難易度のクエストに足を進めることができるようになった。
そして使用できる魔法のバリエーションも増えたことだろう。
予想外の出来事だが、一気に初心者プレイヤーとしては見られなくなるだろう。
(まったく、聖騎士エグバートさんに感謝だな)
「おい!お前ら!今貰った報酬で装備整えに行こうぜ!」
翼が声を上げる。
確かに報酬でクロミナの中で使えるお金であるG(ゴールド)がたくさん手に入った。
武器屋に行けば今よりもいい武器が買えるだろう。
それに鉄鉱石と金も貰ったため今持っている武器の耐久値を上げることだってできる。
「確かにそうね!私もレベル50以上になると解放される武器整備店が気になる!」
リナも同情する。
「が、ガチャも引きたい……な」
「お!いいこと言うじゃねぇかツカサ!行こうぜ!」
ガチャは初ログインボーナスとして1回引けるのと、持っている"輝石"1個で1回引けるガチャの2種類がある。
しかし、輝石という石はそんな簡単に手に入るものではない。
高難易度クエストを何度もプレイしてようやく1個か2個手に入るくらいの超レアアイテムだ。
それ欲しさに課金する人も多いみたいだが、レベルが上がると50レベル単位で1個貰えるというクロミナ運営会社の優しい対応も付いている。
(待てよ)
戒斗は1人でに考える。
俺の「カイト」のレベルは確か5203。
50で割ると輝石が、えーっと……。
「何してんのよカイト。行くわよ。」
リナに服を引っ張られる。
話が終わっていたようだ。
皆んなもう出口付近に行っている。
まったく、みんな子供なんだから。
戒斗とリナは後を追うように共通ギルドを出た。
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