放置すればするほど強くなるゲームを5年間放置したらいつの間にか最強プレイヤーになってました。〜ぼっちは嫌なので最強であることを隠します〜
第10話 魔法と聖剣 Magic and Holy sword
第10話 魔法と聖剣 Magic and Holy sword
PM 15:45
帰宅後。
戒斗はすぐに仮想世界に入った。
16時から昨日知り合ったフレンドのリナと会う約束をしているのだ。
戒斗はとても楽しみだった。
集合場所は第8区大通り「クロス」の一角にあるカフェである「ラミ=cafes」。
昨夜は第8区の共通ギルド前でcontactを切ったので当然スタート位置も第8区共通ギルド前だった。
まだ日が沈んでいない昼間にも関わらず多数のプレイヤーが見受けられた。
(流石はNo. 1 SNSアプリケーションだな。)
そんなことを考えていると約束の時間になった。
戒斗は少し早足で集合場所へ向かった。
因みに昨日の時点で戒斗のレベルは21まで上がった。
その結果、【基本魔法】である
しかし、
「ラミ=cafes」のドアを開けると窓際の向かい合わせのテーブルにこちらを向くようにリナが座っていた。
「よ、リナ。待ったか?」
戒斗が話しかけると少し怒り気味な様子で
「あっ、カイト!遅いよぉー」
と、嬉しそうに答えた。
すると戒斗が座ろうとしている最中からリナは質問を飛ばしてきた。
「そういえばカイト。"
昨日のこと。
戒斗は実績の解除や幾つかのクエストに行くことで経験値を手に入れ、レベルを上昇させた。
その結果戒斗は"
そのレベルは20。
レベル20を境に全てのチュートリアルは終了する。
「リナは何色にしたんだっけ?」
"
レベル20を超えた時点でステータス欄に魔法の詳細が記される"
戒斗は何系統にするか昨日の時点で迷い、結局決める事ができなかったのであった。
その為今戒斗のステータスの"
『"
「私は金色!"光"の魔法が使えるの。現状1番強力とされている光の最高位魔法を操りし光の魔法使いよ」
現状。
それは今のバージョンの時のみの話である。
つまり、現状最強はあてにならない。
「さっさと決めちゃいなさいよ。カイト一応剣士でしょ?火を纏いし炎の騎士?水を纏いし水の騎士?」
「騎士好きだな……。えーっと、他に何があったかなっと……」
戒斗はリナの助言を半分無視するように自分のステータスを開いた。
全部で10色ある系統はどれも甲乙付けがたい特徴を持っていた。
ここで全て紹介しよう。
赤系統=火を操る。
青系統=水を操る。
水系統=氷を操る。
黄系統=雷を操る。
緑系統=風を操る。
茶系統=自然 (土、木々、精霊)を操る。
紫系統=超能力(物を浮かせる
金系統=光を操る。
銀系統=空間 (空間を捻曲げたり、自身の作り出す魔法空間から武器を取り出す魔法)を操る。
白=回復(傷を癒す
このように系統によって扱える魔法が異なり、それによって戦略の幅も広がるという仕組みだ。
「茶系統でオールラウンダーになってもいいよな……」
戒斗がぼやくと
「えー、茶色?確かに全ての系統の魔法はそれらを司る精霊を通して使えるけど中途半端って言われてるじゃない。」
「だよな……。じゃあ無難に赤……とか?」
「えー?赤?無難すぎてつまらないよ」
「……青色」
「無難じゃない?」
「水色」
「無難ね」
「黄色」
「無難だわ」
「緑色」
「無難かなー」
「金色」
「同じ」
「銀色」
「無難……」
「って、決まんねーだろ!なんだよ無難って!この世界のことそんなに知らねーだろ!!」
「ああ、もう!なんでもいいじゃない!昨日私の話を聞いてくれるっていう約束したでしょ?」
「……そうだったな。ってか、同じってなんだよ!いいじゃねーか別に。」
「いいけど。同じグループに同じ系統はねぇ?それに2人だし……」
リナは少し顔を赤らめた。
その少しの動揺に気づかなかった鈍い男戒斗は結局神様に聞くことにした。
系統色は円を描くように表示されていた。
1番上になっていた赤色から指をさして、
「どーれーに、しーよーうかな、てーんーのーかーみーさーまーのーいーうーとーおーり!!」
最後の"り"と共にその色を選択した戒斗。
「どれになったの?」
リナが戒斗の顔を覗き込んでいる。
「紫系統……」
「え」
戒斗とリナの間に沈黙が流れた。
「む、紫って……現状では1番弱いっていうか……その……ま、まぁ確かに無難ではないけど……用途が……」
「みなまで言うな!……くっそ、唯一選択肢に入れていなかったやつが選ばれるなんて……」
【紫系統が選択されました。】
追い討ちを掛けるように表示される再確認表示。
「ま、まぁまぁ。案外面白いかもよ!」
慰めの言葉を掛けるリナ。
(これじゃあまた学校の奴らに軽蔑されるかも……)
心配を募らせる戒斗。
戒斗は溜息を一つ吐くと項垂れていても仕方がないと思い、現段階で使用できる魔法を確認した。
「私にも見せてくれない?紫系統の魔法って興味あるかも」
「いいよ」
戒斗は自身のステータスを近くにいるフレンドに公開する機能を選択した。
リナが戒斗のステータスを覗き込む。
「戒斗、魔力数値低いね」
「リナみたいに魔法専攻ってわけじゃないからな」
「本当に平均して全部に割り振ってるね」
戒斗は初めからのそのスタンスはやめていなかった。
「えーっと、今使えるのは……」
戒斗は"
【紫:伝達魔法=
(※現状上限 1人)
【紫:浮遊魔法=
(※現状上限 浮かせるモノのレベルが1)
【紫:視覚補強魔法=
「"※(こめじるし)"多いわね。」
「それだけ制限されてるってことだな。」
「……で、でも便利そう!」
「た、確かにな。……でも、魔法の世界で超能力使うってのも如何なものかなぁー。あー。炎魔法とかぶっ放してみたかった」
「もう過ぎたことだから考え詰めても仕方ないよ。それよりも!私の話を聞いてくれるんでしょ?」
「ああ。そういえばそうだったな……。悪かったな。こんな無駄なところで時間使っちまって」
「いいよ。話すだけでも楽しいし」
にこりと笑うリナはゆっくりと話を始めた。
「カイトはさ。魔王軍倒したいとか思う?」
「え?」
急な問いかけに戒斗は驚いた。
俺になんか無理だろ。
「現段階で魔王軍を倒すためには対抗するための武器が必要だって話はしたよね?」
戒斗は頷いた。
「その剣が前から言ってる"聖剣"なの。」
そのままリナは興奮気味に続けた。
「でもその剣は未だ一度も姿、形を現したことはないの。それってとっても興奮しない?なんかゼ◯ダの伝説のマ◯ターソードみたいで!」
伝説系が好きなのは知っていたが、ここまでとは。
顔を赤らめながらまるで剣に恋してるかのような喋り口だ。
(なんだ?俺は剣との恋バナを聞かされてるのか?)
戒斗は少し心配するような目でリナを見つめる。
しかし、その視線にリナは気付くことはない。
「それでねそれでね!ここだけの話なんだけど。私のお父さんがクロミナの制作会社の管理人なの!だから"聖剣"の持ち主を調べてもらったの!そしたらね、名前だけ分かって、名前が君と同じ"カイト"だったの!」
ふーん、なんか聞いたことのある話だなと戒斗は少し首を捻った。
名前が一緒なのはそれはいるだろうな。
世界にはカイトという名前のやつはいっぱいいるだろうし。
「それが俺と繋がってくれた理由か?」
戒斗は意地悪ながらリナに聞いてみた。
するとリナは少し困った顔で
「え、ううん。別にそういうわけじゃないよ。ただ初心者の人を探していただけなの」
と言った。
「そうか」
それにしても相槌打っているだけじゃ少し本当に聞いているのか不安がられてしまう可能性がある。
少し質問しよう。
そう思った戒斗は明後日の方向を見ているリナの方を向いて問いかけた。
「その剣の名前は知っているのか?」
戒斗の質問を聞いてリナは嬉しそうに答えた。
「うん!えっとね、"魔滅剣シャイリアル"だよ。」
まめつけん、しゃいりある…?
その時。
戒斗は急激な頭痛に襲われた。
キーンという耳鳴りもしてきた。
(またか?!)
「どうしたの?カイト?大丈夫?」
リナの心配を聞いている暇はなかった。
(これは…なんだ?!)
頭の中をガンガンと誰かに叩かれているみたいな痛さに襲われた。
戒斗はその時、頭の中に誰かの見ている視界が映し出された。
そこに映っていたのは今よりも少し部屋が散らかっている真っ暗な部屋。
明らかに戒斗の部屋だった。
(これは……いつだ?)
スマホを片手に時計をチラチラと見ている。
このスマホ……5年前のか?
そしてあるアプリを起動させ、HS(ヘッド・セット)を装着し、仰向けになった。
その起動させたアプリはー……。
(クロミナだ)
間違いない。
(俺は5年前からクロミナをやっていた!)
戒斗は、はっきりとその事実を思い出した。
しかし、戒斗のクロミナのデータが入ったスマホは壊れた。
もう携帯ごとデータは消えただろう。
戒斗はそのことをリナに伝えようかと思ったが、今更話してもどうしようもないことだと理解した俺は話すことをやめた。
「悪い、リナ、ちょっと偏頭痛っぽくて」
戒斗は話を元に戻した。
リナはそうなんだー、と言っていた。
戒斗は少しだけど記憶が戻った。
その事実は凄いことだ。
まだ何か忘れてる気がしたが、気のせいだと思った戒斗はリナとの話に集中した。
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