第39話 黒曜族の宴
黒曜族の宴の日がやってきた。
「・・・・・・ここが黒曜族の宴が行われる場所だな?」
ネビュラは隣にいるガロットに聞いた。
余裕のない早口であった。
「焦るな、ネビュラ。失敗すんぜー?」
「っ。わかっている、わかっているんだ」
ネビュラは深呼吸をして気分を落ち着けていた。
ガロットは余裕のなさそうなネビュラを見て考えていた。
(ついにこの時がきちまったんだなー)
◇
黒曜族の宴の場所にはたくさんの同族たちがいた。
あまり関わりたくない顔ぶれだった。
だが、逃げるわけにはいかない。
なぜならここにはレオがいるはずだからだ。
生贄の大悪魔ヘリオロが拍手をしながら姿を現した。
皆が静まった。
「これはこれは皆様お集まりいただけたようで何よりです」
満足そうな表情のヘリオロは背後にいる男に場所を譲った。
皆が注目した。
そこにいたのはこの黒曜族の宴の主催者でもあり、『深淵の大悪魔』、『黒曜の大悪魔』の名を持つ二大悪魔でもあるベルギオがいた。
「よく集まってくれた。この場所に参加する同族たちは覚えているだろうか?」
ベルギオは笑いながら言った。
「悪魔のままの弱い貴様たちと、大悪魔の地位。そして、俺は二大悪魔になった。この差はなんだと思う?貴様たちの欲しがるこの魂、奪えないのはなぜだ?答えは簡単だ。貴様たちが弱いからだ」
ヘリオロは楽しそうに話を聞いていた。
ヘリオロは大悪魔であった。
他の黒曜族の悪魔たちは敵意のある目でベルギオたちを睨んでいた。
「そうだ、その目だ。俺は求めている、この魂を奪えるような悪魔を。大悪魔を。二大悪魔を。さぁ、始めようか。黒曜族の宴を。勝てば貴様たちが二大悪魔の地位、黒曜族の王になれるかもしれない。そして、この人間の魂も奪えることだろう」
「えっ、あっ?!」
隣には綺麗なドレス姿の女性がいた。
だが、ネビュラはすぐに気づいた。
「レオ!」
「あ、おい馬鹿」
ガロットが止めたが結局ベルギオたちには気づかれてしまった。
「ようやくやる気になったようだなネビュラ。いつもいつも逃げてばかりの貴様がこの人間を救えると思うか?」
「レオに手を出すな!」
「面白い、いいだろう。黒曜族の同士たちよ聞くがいい。俺とネビュラを倒したあとにこの特別な人間の魂は奪える。いいな? この人間は特別だ。我々二大悪魔が欲する人間・・・・・・それだけでどれだけ価値があるかわかるだろう?」
ネビュラもベルギオも周囲を囲まれていっていた。
「さぁ、俺たちの魂を全て奪う気で本気でくるがいい」
ベルギオがレオをヘリオロに預けた瞬間に黒曜族の宴の始まりの合図が激しく鳴った。
黄金の魔術師と白き大悪魔 寝月夜兎 @neruto
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