第38話 最悪な宴へ
ギューオとドルノたちは、隠れ家で仲間たちと反ベルギオ派として情報交換などをいつも通りにしていた。
そこで仕入れた情報の中に、とんでもない情報があったのだ。
「ギューオさんこれは大変なことになりましたよ」
「ああ、そうだな」
ドルノは、腕を組んだまま低い声でギューオに返事を返した。
「まさかあの男が『黒曜族の宴』を開くだなんて。
それに、この間の小さな宴の時もそうだ。
もしかして、俺たちのことバレているんじゃ」
「まぁ、あいつらに反抗する勢力があるのは勘づいているだろうな」
「だとしたら・・・今こそ!仲間たちと一気にベルギオを叩き落としましょうや!」
「落ち着け、ドルノ。
我々がその反抗するグループだとまで勘づいてはいないはずだ」
「ですが・・・」
「ドルノ。
私たちは、慎重に行動してきて今があるだろう?
ここまでくるまでかなりの時間がかかった。
最初は私と、お前の二人だけだっただろう?
慎重に、慎重に行動を繰り返してようやく手に入れたチャンスを一時の感情で流されて終わりにしてはいけない。
命を無駄にしてはいけない。
お前ならばわかるだろう?
この意味が」
「ギューオさん、わかりやした」
「ベルギオが本気ならば、我々はあの小さな宴で全員殺されているはずだったかもしれないな」
「あの時は、さすがに焦りましたよ。
俺たちの仲間ではないにしろ、馬鹿がやらかしてベルギオたちを挑発するから魂が飛ぶかと思いましたよ」
「その程度で怖がっていてはあの男には勝てない、と言いたいところだがその意見には同意だ。
あの時一緒にいた生贄の大悪魔ヘリオロもかなりの曲者だろうな」
「でしょうね。
あのベルギオと一緒に仲良く談笑していましたね」
「ベルギオほどの強さはないだろうが、それでも我々よりもはるかに強い大悪魔であることに違いないだろうな」
「でも、あの大悪魔の魂を手に入れられれば・・・」
「そう急くな。まずは、『黒曜族の宴』に参加する準備をするとしようか」
「ですね」
ギューオとドルノたちは近い日に始まる黒曜の大悪魔が主催する『黒曜族の宴』に向けて仲間と着々と準備を水面下で進めていっていた。
あんな小規模な宴とは比べ物にならない宴になることは間違いないだろうと二人は確信していた。
■
ガロットは大きなため息を吐き出しながら、とある場所に向けて友である大悪魔と一緒に歩いていた。
「あ~あ、面倒なことになっちまったな~」
「・・・・・・レオ、待っていろ」
隣にいるネビュラは怒りに満ち溢れていた。
『深淵の大悪魔』『黒曜の大悪魔』の二つ名を持つ大悪魔のベルギオが原因だろう。
自分やネビュラと同じ黒曜族でありながら、その種族の頂点に今はいる大悪魔だ。
ネビュラとの相性は最悪そのものだろう。
よりにもよってレオがそんな場所にいるだなんて知りたくもなかったし、ネビュラに教えたくもなかったがそうもいっていられない。
言わずとも恐らくネビュラは魔界中を同族喰らいの大悪魔としての本性を見せながら、レオを探し回るに違いない。
最初に向かうとしたらその場所に単身で乗り込みに行っていたことだろう。
「いいか~、あんまり暴れるなよ?
レオがいるんだから、下手すりゃあいつがまた怪我をするかもしれねー。
あの時みてーにな」
「ッ。わかっている、大人しくしていればいいんだろう」
ガロットはネビュラが暴走しないように釘を刺しておいた。
目的地は指輪の反応があった場所である、ベルギオがいる屋敷だ。
「道中、何も起こらなければいいんだがな~」
ガロットは目先に見える厄介ごとの未来に、うんざりとしたため息をもう一度吐き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます