第37話 生贄の大悪魔
生贄の大悪魔ヘリオロは深淵の大悪魔・黒曜の大悪魔の大悪魔の名を持つ二大悪魔であるベルギオの元に向かっていた。
以前開催された黒曜族の宴の後、何やら見知らぬ女を連れて帰ってきたとの噂を聞いたからだ。
「黒曜の大悪魔様、失礼しますよ?」
静かにドアをノックしてから勝手に部屋に入った。
いつもの青い花がたくさんある部屋には黒曜の大悪魔様と噂の女性を見つけた。
人間の少年ロノはいないようだった。
「おや?その方は?」
興味と好奇心を隠しもせずに黒曜の大悪魔様の元へと近寄った。
女性の方は黒曜の大悪魔様の後ろに身を隠してしまった。
(どうやら私は警戒されているようだ)
「ちょうどいいところに来たな。生贄の大悪魔ヘリオロ。一人増えただけだ。気にするな」
「ああ、なるほど。わかりました」
それ以上は深入りせずに話を終わらせた。
黒曜の大悪魔様の上機嫌な様子を見れば、どういう意味なのかすぐに理解することができた。
『黒曜族の宴の準備をする。参加は自由だ。大悪魔がこようと悪魔がこようと俺の招待するお気に入りがくるのであればそれでいい』
『お気に入りとは誰のことでしょうか?』
『気になるなら、参加するといい。強制はしない』
『この宴にも参加している』
(この宴にも参加している)
黒曜の大悪魔様はあの貧相な黒曜族の宴でそう言っていた。
あの時も同じく上機嫌だった。
普段は見られない姿だった。
「人間の女性ですね。初めまして。私は生贄の大悪魔ヘリオロと申します」
黒曜の大悪魔様の後ろに隠れていた人間の女性は軽く会釈するだけだった。
黒曜の大悪魔様と日頃から一緒にいる人間の少年が悪魔を怖がらな過ぎる方がおかしいのだから彼女の反応は正常な反応であろう。
「ヘリオロ、宴の準備だ」
「畏まりました。黒曜の大悪魔様。以前の宴で、お話されていたお気に入りの方はその方ですね?」
「さぁ?どうだろうな」
「くっくっく!貴方様を見ればわかりますとも」
「招待状は黒曜族全員へ送れ。参加したくない奴は好きにするがいい」
「任せてください。この生贄の大悪魔ヘリオロが黒曜族全員を招待してみせましょう。黒曜族の宴を貴方様が開かれるのですから参加しない黒曜族なんていませんよ」
これから始まる本当の黒曜族の宴に心を躍らせた。
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