第35話 一足遅かった

「ああ?いなくなっただぁ?」

「レオが。どうしたらいい」

 いつもの覇気はなく頼りなさげな情けない声で訪れたのはネビュラであった。

指輪をつけたままはぐれたとのことだったのを思い出して、少々値が張るが知り合いの悪魔に頼み込めば何とか追跡可能かもしれないとひらめいた。

「まぁ、まて。落ち着け。慌てても何も解決しない。以前、学んだろう?」

「あ、ああ。ああ、そうだな。まずは落ち着かなければ」

「そうそう、落ち着けってーの。俺様に一つだけ考えがあるんだ。少し出かける。お前さんはここで待ってろ。いいな?できるな?」

「ああ、待てる。だから早く用事をすませてきてくれ」

「おうよ」



 ガロットは知り合いから情報を売買して手に入れた。

さっそくネビュラのいる場所へと戻ってきた。

ネビュラは落ち着きなくガロットに駆け寄った。

「どうだった。レオの居場所は?」

「安心しな。居場所はわかった。今から連れていく」

 ガロットはネビュラと歩きながらいつもよりも低めの声で忠告するように言った。

「お前さんは覚悟できてるか?レオがいる場所はネビュラ、お前の大嫌いな奴がいるぞ?」

 ネビュラは足を止めて、拳を震わせた。

「まさか・・・レオがいる場所というのは」

「そう、そのまさかの場所だ。黒曜の大悪魔様のいる場所だ」

「ベルギオが・・・レオを!!」


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