第33話 闇のオークション

 黒、黒、黒、黒、黒。

世界は闇に染まっている。

皆、周囲にいるものたちは悪魔ばかりだった。

人間である俺がいるほうがおかしな話なのだが。

ベルギオに強制的にオークション会場に連れてこさせられたのだ。

人間だとはどうやらバレてはいないらしい。

俺が人間だと知っているのはこの会場ではベルギオのみだ。

「・・・・・・」

「どうした?緊張でもしているのか」

 1階の会場の席にほとんどの悪魔は座っているのだが、俺とベルギオは2階の数人だけの席にいた。

1階の会場よりは人が少なくてありがたいと思っていたがそうでもないらしい。

人が少ないぶん、声が通るのだ。

隣の席にいる悪魔にも、俺とベルギオの会話は筒抜け状態なのだ。

「あ~らら?黒曜の大悪魔様のお隣の方はどなたかしら~?わた~し、とぉ~っても興味ありましてよ?よろしければ教えてくださいな~♪」

 扇子をひらひらとあおぎながら興味津々に女性が話しかけてきた。

ベルギオは、少し考えた後にこう答えた。

「俺の連れだ。いつものよりは大人しいから安心しろ」

「あら?そうなの~。常連さんは賑やかで面白い方で私、好きですわよ~?また、遊びにきてくださいますの?」

「気が向いたらな」

 ベルギオは素っ気ない態度であしらっていたが、女性は気を悪くした様子もなく満足気にしていた。

「なぁ、これから何をするんだ?」

 ベルギオに耳打ちで聞いたら1階を指差しながら答えてくれた。

「見ていろ。見た方が早い。説明してもわからないだろう」

「・・・」

「闇のオークションだ。魂の売買をこれから行う。言ってもわからないだろう?」

「ああ・・・うん。さっぱり」

 確かにベルギオの言う通りだった。

(魂の売買?ってなんだ)



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