第25話 到着

魔界を出歩くのは初めてだ。


「私の傍から離れないように」

「あ、ああ」


ネビュラが少し遅れていた俺に気づいて立ち止まっていた。

魔界は悪魔しかいなかった。

俺もネビュラも深いフードつきのローブを身に纏っていた。パッと見ただけでは、誰だか判別は難しいだろう。

さすがに、これだけ真横にいたら顔も見えてしまうものだが。


「大丈夫か、レオ?」

「ん?ああ、大丈夫。ちょっと驚いていただけさ」

「指輪の効力は本物らしいな」

「そうなのか?」

「特に怪しまれてもいないようだ」


ネビュラとはぐれた時のことを思うとぞっとしたが、こちらのことを気にかけて心配してくれているようだ。

ガロットがいないのが不安ではあるが、目的地へと向けて歩き続ける。



ガロットから渡されたという招待状の場所へとたどり着いたようだ。

周囲には、続々と悪魔が建物内へと入っていくのが見える。


「ここが・・・」

「今回開催される黒曜族の宴だ」


宴というからには楽しいことでもするのだろうか。

賑わってはいるようだ。

ざわざわと周囲はざわついている。


「具体的には何をするんだ?」

「わからない」

「え?」


ネビュラなら知っているだろうと思って声を掛けたら、そんな返答が返ってきた。

思わず顔を上げてネビュラを見た。


「私も初めてくるんだ」

「そうなのか」


嫌な予感はしていたが不安が増した。

悪魔の列の流れに沿って建物内に入っていった。

無事に宴に参加することができたようだ。

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