第20話 同族喰らいの大悪魔

「あらら?こうも品性のかけらがないないとは驚きだわ。同じ二大悪魔でもやっぱりベルギオ様より劣る存在ね」


忠魔の大悪魔ガビは嘲笑した。


「殺す・・・貴様も、ベルギオも絶対に!!」


ネビュラは叫んだ。

怒気の含まれた声色には明らかな殺気が溢れ返っている。

その言葉を身に受けて、一切怯まないガビはさらに高らかに笑った。


「あらら、なんて低能で野蛮なのかしら。本当に同族とは思いたくもないわ。ねえ、そこの人間?大人しく捕まってくれない?」

「え?」


今まで蚊帳の外にいたのに、突然のことに思考が停止した。


「ふざけるな!」


ネビュラは怒鳴った。


「同族喰らいの大悪魔の傍にいてどうするの?人間が。アンタも食べられちゃうわよ?」

「同族喰らいの大悪魔?」

「なーに、知らないの?」


ガビはひどく楽し気にしていた。


「・・・その名で呼ぶな」

「あら?どうして?それは貴方の大悪魔としての名前でしょ」

「いいから、その名で呼ぶな!!」

「だって事実じゃない。実際に、同族を喰らってついた名ですもの」

「・・・・・・!」


ネビュラは気が付いた時には、その場にいなかった。

ガビの間合いに入り込んで一撃を繰り出していた。

だが、ガビはそれを受け止めていた。


「なーに?殺りあいたいの?でも、残念。今はそれを命じられてないわ。確かに花束を贈ったからね?喜んでお受け取りなさい。ベルギオ様からの最高の贈り物を!!」

「!待て、逃がすか!!」


ガビがネビュラに蹴りを入れようとしてかわしたすきに、姿を消していた。


「くそが!逃げられた!!!」


ネビュラはいなくなったガビの方向を睨みつけて叫んだ。


「忠魔の大悪魔ガビ・・・一体何者なんだ?」

「あいつは、深淵の大悪魔様んとこの奴。大悪魔の名の通り、深淵の大悪魔に忠実な大悪魔ってことだが。まさか、大悪魔がご挨拶にくるとはなー。ま、ご本人様じゃなかっただけまだよかったな」


ガロットは安心したようにいった。

深淵の大悪魔、名はベルギオだったか。


「あのさ、ガロット」

「なんだ、びびったか?」

「それは怖かったけどさ。ネビュラとベルギオって仲が悪いのか?」


色々と気になることはあったが、一番気になったことをガロットに聞いた。

ガロットは苦虫を噛み潰したような顔でいった。


「仲が悪いだなんて可愛い言葉じゃ片付かねーくらいにはな。敵同士、天と地の存在。もう最悪だ。名を聞いただけであれだからな。もう重症だ。今は関わんねーでそっとしておいてやれ。色々とな」


自分の足元に風で飛ばされてきた青い花びらを拾い上げた。

混乱する頭の中で、様々な言葉が引っかかった。

特に、深淵の大悪魔ベルギオ。

やはり聞いたことがある気がした。

そして、もう一つは同族喰らいの大悪魔。










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