第19話 嫌いな花
辿り着いた先で見たのは驚きの光景だった。
フェリアの首元を片手で掴み持ち上げるネビュラがいたのだ。
「ち、違うんです・・・話を。不死の大悪魔様・・・どうか」
「・・・・・・」
フェリアは苦しそうにしていた。
ネビュラは何も言わずにさらに力を込めていく。
このままでは、フェリアが。
「おい、やめろ!!ネビュラ!!!その手を離せ!!!」
大声で叫んだ。
「!レオ?どうしてここに・・・」
ネビュラは声を聞いた瞬間に手を離した。
地面に崩れ落ちたフェリアはせき込みながら話し出した。
周囲には青い花束とばらばらに散った花びらがあった。
「も、申し訳ございませんでした。贈り物だということで、この花束を渡してしまい・・・」
花束?
青い花束を渡してこんなことが起きたのか?
「あー、そうきたか。めんどくせーのはごめんだっつたのによー。はぁー、帰りてー」
「ガロット?」
ガロットは頭が痛そうに片手で目元を抑えて天を仰いでいた。
「どうかしら!お気に召した?アタシからの贈り物。同族喰らいの大悪魔様?」
「誰だ!」
玄関に立っているのは女の悪魔。
初めて見る顔だ。
ネビュラは警戒した様子で言った。
「あらー?ご存じないかしら?アタシ、これでも大悪魔なんだけど?」
強気な口調で女の大悪魔は言った。
「大悪魔だと?」
「そうよ、アンタと同じ大悪魔。でも、アタシのほうが上。例え、アンタが不死の大悪魔、同族喰らいの大悪魔の名を持つ二大悪魔だとしてもね。このアタシ忠魔の大悪魔ガビには遠く及ばないわ。そして、もっと上がいる」
煽るような台詞を散々はいたあとに、忠魔の大悪魔ガビは楽し気に笑っていった。
「深淵の大悪魔、黒曜の大悪魔の名を持つ二大悪魔。黒曜族の頂点に立つ素晴らしき大悪魔」
「・・・誰のことを言っている」
ネビュラは拳を握りしめていった。
明らかに怒りを抑えている言動の震え方だった。
「なーに知らないの?それともとぼけているのかしら?ま、いいわ。今ここで覚えてちょうだい?そのお方の名は、ベルギオ様よ!!」
「!!!!その名を呼ぶなぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ネビュラはブチぎれていた。
フェリアや目の前にいるガビとかいう大悪魔に対する怒りなんて比にならない怒り具合だ。
「あーあ。最悪だぜー。あの花見た瞬間から察してはいたけどよー」
「・・・ベルギオ?」
ガロットが隣で何かいっているが、ガビのいった大悪魔の名が妙に聞き覚えがある気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます