第11話 その花の名は
「わぁ、すごいな・・・」
一面に広がるのは、赤くて綺麗な花畑だった。
今が先ごろなのか開花している花々は風に身を任せて踊る様に揺れている。
「綺麗だ」
「気に入ってくれてよかった」
「でも、意外だな。花を育てるのが好きなのか?」
甘く香る花の香りはとても懐かしく感じる。
「レオが初めて教えてくれたんだ」
「俺が?」
いつもよりも、落ち着いた様子で話し始めたネビュラに驚いた。
花のほうから顔をあげた。
「これが花だということを。綺麗なものを。・・・だから、レオがいなくなった後、この花を育てた。毎日会うために努力した。でも、結局見つからなかった。相談できる相手も私にはいない。唯一いるとすれば、あいつだけだった」
「ガロットのことか?」
「そうだ。ガロットだ。あいつに話してみた。そしたら、次の日から魔界に迷い込んでいる人間を連れてくるようになった。それを繰り返していくのが日課になりつつあった。・・・そんなある日のことだ。ガロットが再び人間を連れてきた。そして、今日ようやく会いたかった人間に会うことができた」
「・・・それが、俺?」
「そうだ、レオだ」
話を聞いていたら、いつの間にやらネビュラの手にはこの花畑の花束が握られていた。
「この花束をもらってくれないか?」
「ありがとう。この花の名前って」
「名前はレーベラ。その花束の意味は」
-『再開』、だ。
ネビュラがいっていることが嘘だとは思えなくなってきていた。
俺のことを知っている、ということ。
なぜなら、あいつが俺のことを大切にしてくれているとこの数日間でよくわかっていたからだ。
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