第10話 戻るためには

あれからというもの、何故この屋敷での生活に馴染みかけているのか。


「おかしい・・・絶対に」


食事はきちんとでる。

味も言えば、試行錯誤してくれているみたいで、コックの悪魔が頭をひねらせて頑張っているようだ。

必ず毒見のチェックが入るが。

睡眠も好きなだけできて、屋敷内限定ではあるが自由に歩き回れる。

といっても、ネビュラが付きそうの前提だ。

それか、ガロットがいるときのみ。

他は与えられた部屋からでることはできなかった。

というのも、見張り?なのか世話係に任命されたらしい悪魔のメイドが常にいるためだった。


「フェリア、そのお願いがあるんだけどさ」

「駄目です、外にでることは禁止されています」

「・・・まだ、何もいってないじゃないか」

「貴方様はいつも同じことをいいます。外に出たい、と。ですが、私は貴方を外にだすな、と命令されています」


フェリアは、命令に絶対順守のようで俺の意見は全部はねっ返される。


「そこを何とか」

「できません」


フェリアが折れてくれることを期待して、毎日のように同じやり取りを繰り返すがなかなか折れてくれない。

手強い悪魔だった。

仕事に忠実で優秀だともいえるが。

ガロットは人間界に戻る方法は教えてくれそうにない。

フェリアも外にだしてくれない。

コックには話しかけるタイミングがほぼない。

残る悪魔は一人だけだった。

この屋敷の主、大悪魔の白い悪魔。

かなり俺に対して過保護気味な、会話がほぼ成立しないタイプのあいつ。


「残るはネビュラ、か」

「!!!不死の大悪魔様に何か御用ですか?」


フェリアはあの大悪魔の名前を聞いた瞬間取り乱したようにいった。


「不死の大悪魔?」

「はい、この屋敷の主様です」

「ずっと気になってたんだけど、不死の大悪魔とか魔界の番人って何?」

「魔界の番人様、不死の大悪魔様も魔界では有名な方ですよ」

「ガロットとあいつが?」

「はい」


あいつら有名人なんだ。


「魔界の番人様は、魔界と人間界を繋ぐ悪魔しか通れないゲートで、人間が迷い込んだら生かしたまま人間界に戻すなんて気の遠くなるようなことをしていらっしゃる方です」

「魔界と人間界を繋ぐゲート?そんなのあるんだ。ってちょっとまってくれ、悪魔しか通れないのに人間をどうやって戻すんだ?」

「悪魔の力でゲートを開いて人間を連れてゲートを通る必要があるんですよ。人間一人ではゲートは開けませんからね」

「嘘だろ」

「嘘ではないですよ」


フェリアが言っていることが本当ならば、俺一人ではどうやっても人間界には戻れないということになる。

誰からしら、悪魔の協力がないとだめだということだ。


「・・・レオ、いるか?」


がちゃり、扉が開いた。

入ってきたのは、この屋敷の主だった。


「ネビュラ!」

「・・・!」

「何か・・・話していたのか?」


二人の緊張を感じ取られたのか、ネビュラはフェリアに尋問するように問い詰めた。


「外にでたいって俺が我儘いって、困らせてただけだよ」

「外に?そうなのか」

「は、はい。ですが、それはできないと・・・」

「外は危険だ、レオ」

「ずっと屋敷の中にいるのはつらいよ」

「・・・ならば、いいところがある。一緒にきてくれ」

「え、ああ」


ネビュラと一緒にどこかに向かった。

フェリアは見送ってくるだけで、ついてこなかった。

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