第7話 疲労と睡眠
結局、屋敷の中を会話がまともに成立しない大悪魔と一緒に探したが、ガロットは見つからなかった。
「一体・・・ガロットはどこにいったんだ」
「・・・屋敷内にはいないとなると、仕事に戻ったのだろう」
「仕事?」
「ガロットは『魔界の番人』としての仕事に戻ったのではと思ってな」
「魔界の番人?ああ、そういえばガロットもそんなこといってたような」
具体的に『魔界の番人』が何なのかまでは俺は知らないが、この大悪魔も知っているということは実際にそういう仕事?があるのだろう。
悪魔に仕事?があるのは意外だったが。
「・・・はぁ」
「大丈夫か、レオ」
「・・・ごめん、ちょっと歩き疲れちゃって」
「ならすぐに休むべきだ。顔色も悪いようだ。きっと疲れているんだろう」
「元気、っていいたいけれど本当になんだろう。急に疲れがきて」
「すぐに準備をしよう。歩くのがつらいなら運ぼう」
「いや、歩けるからいい」
抱きかかえられそうになって慌てて、距離を取った。
「・・・そうか。では、行こうか」
「?え、ああ」
なぜこの大悪魔が傷ついたような表情をしたのか理解できなかったが、気にせずに後を追いかけた。
◆
「ここで休むといい」
「えっと、いいのか」
「もちろん、シャワーを浴びてからの方が気分もいいだろう」
「あ、ありがとう」
「・・・さぁ、着替えも用意した。入ってくるといい」
「って、いつの間に」
この大悪魔、本当にいつの間にあれやらこれやら準備をしたんだ。
ずっと隣にいた気がしたが。
気にしたら負けだ。
そう思って、言われたとおりにシャワーを浴びに行った。
◆
「・・・なんだこれ。痣?」
左足のふとももには見覚えのない変わった痣があった。
どこかにぶつけてできたにしては不自然な形だった。
「痛く、ないな」
青たんかと思ったが痛みもない。
今は特に問題なさそうだったし、深く考える気力もなかったのでそのまま放っておくことにした。
◆
「ふぅ、さっぱりしたって・・・この服着るのか・・・?」
自分が絶対着ることのないタイプの服が用意されており、他に服もなかったので仕方なく着ることにした。
◆
「アア、レオ。戻ってきたか・・・よかった」
「って、ずっとそこにいたのかよ」
「・・・・・・驚いたな」
「え?何が」
じーっと人のことを見てくるので思わず後ずさる。
「よく似合っている」
「いや、笑いたければ笑ってくれ。似合わないだろう」
どうあってもそんな台詞俺には浮かばないぞ。
「笑うはずないだろう。レオ、とても似合っている」
「・・・あ、そう。どうも」
本気でいっているのかと正気を疑いたくもなるが、この貴族のきていそうな黒を基調とした服をもう一度見まわした。
・・・絶対、着せられてる感があるな。
「・・・はぁ」
「どうした、レオ」
「いや、なんだか色々疲れちゃってさ」
「そうか、ならば休むといい」
そういって案内してくれたのは、大きなベッドだった。
「え、さすがに悪いよ」
「何を言う。遠慮する必要はない」
「・・・夢、なら別にいっか?それじゃ、お言葉に甘えて」
この長い悪夢も寝れば覚めるはずだ。
「寝心地は悪くないか」
「ん?ああ、大丈夫。ありがとうな」
「そうか、ならよかった。ゆっくりと休むといい」
どうして夢の中でさらに寝るということをしているのか考えるのも面倒だし、夢だということで片付けて寝ることにした。
まさか、夢がここで終わるだろうと思っていたのに次の日がくるだなんて夢にも思わずに。
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