第6話 大悪魔と一緒に
その後、何とか落ち着かせた。
大悪魔はやっと泣き止んだ。
自分よりも大きな体のくせに、まるで子供だ。
「ふぅ、どうして号泣されなきゃいけないんだ・・・」
相手が大悪魔だということを忘れて横柄な態度をとってしまった。
「レオにこうして会えて、私は嬉しい」
この大悪魔は俺と面識があるかのように振舞うが全く身に覚えがない。
「俺たち初対面だぞ」
「そんなはずない、私は忘れない」
「忘れないっていわれても・・・」
悪魔と会うだなんて今日がはじめてだし、話すのだってそうだ。
「あんたは誰かと勘違いしてる」
「そんなはずない」
平行線。
このまま同じやり取りを後何度繰り返せば納得するだろうか。
いや、こいつは絶対に納得する気がしない。
折れるなら俺の方が早いだろう。
すでに、疲弊しきった体は休息を求めているのだから。
「もういいよ、この話は終わりだ。疲れた」
「ど、どこへ行くんだ!待て、レオ」
力強く腕を掴まれた。
「どこって、ガロットを探しに」
「・・・あいつなら、そのうち戻ってくる。私の側から離れるな」
「離れるなって言われてもなぁ」
この大悪魔は危害はなさそうだが、違う意味で危険そうだ。
まだガロットのほうが話が通じそうだし何とかこの場を収めてくれそうだし、とにかく俺一人ではこの大悪魔とまともに会話が成立しないことだけは確かだった。
「・・・私も一緒に探そう。レオ」
「え、いや俺一人で」
「レオ」
「・・・わかったよ」
逆らえない眼力に根負けして、俺は大悪魔と一緒にガロットを探すことになった。
気まずい空気の中で、ガロットを探すのはつらい。
頼むから、早く見つかってくれ。
そう祈るしかなかった。
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