第5話 過保護な大悪魔

「アア、レオ。レオ。会いたかった」


この悪魔、大悪魔だったか?

が、なぜ俺を抱きしめてこんなに感動しているのか理解できない。

今日が初対面だぞ?


「なぁ、その。悪いんだけど、どこかで会ったことあったか?」


悪魔と会ったことがあるとか冗談にもほどがある。


「・・・・・・」

「おい?ネビュラ?」


名前を呼ぶが反応がない。

何かやばいことでもいったか?


「・・・・・・憶えていないのか?私のことを」

「憶えていないも何も、今日がはじめてで・・・っ?」


急に抱きしめる力が強くなり、思わず顔をしかめた。


「っ!すまない、痛かったか。そんなつもりじゃなかったんだ、レオ。私はネビュラ。あの時よりも強くなったんだ。姿が少し変わってしまったから混乱させてしまった。ネビュラ、この名前は憶えているだろう?」

「えっと、ネビュラ?どこかで聴いたような・・・」

「やはり、あの時のショックで・・・」


ネビュラは憐れみを含んだ赤い瞳で俺を捉えた。


「あの時?」


一体いつのことだ?


「大丈夫だ。何も心配する必要はない。私が守る。今度こそ。だから、安心してくれ。誰にも渡さない。・・・ベルギオには絶対に」


ベルギオ?

ネビュラはわけのわからないことをいう。

でも、彼の名前といいベルギオという名前といいどこかで聞いた名前だ。

一体どこで聞いたんだろうか?


「レオ、こんなにボロボロに。可哀そうに。怪我!怪我はないか?」

「いや、ないけど・・・」

「そうか、よかった」

「・・・・・・」


目の前の大悪魔は異常だった。

俺に対して過保護な気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る