第4話 初対面と再会

ガロットに担がれて不死の大悪魔とかいう悪魔のいる場所に到着した。

大きな屋敷だ。


「ここが?」

「ああ、あいつのいるところさ」


そこは広大な屋敷だった。

随分と立派な建物だ。

城壁で囲まれて、おまけに門も大きい。


「んじゃ、行くぜー?」

「って、おおい!」


ガロットは俺を下ろして先に進んでいった。

門の中にためらいもなく。

俺は慌てて追いかけた。

気になったのは、門番がいないことだった。

それに、人気もあまりない静かな屋敷だと思った。


「ここ、本当に誰か住んでいるのか?」

「住んでるぜ?珍しいか?」

「あまり生活感がないなと・・・」

「ガハハハハ、確かに。もう少し散らかっているかと思ったがそうでもねえらしい。まぁ、あいつ自身このでっけえ屋敷で寛いで過ごすタイプじゃねえからな。というより、そんな暇ねえーって感じか?」


ガロットはこの屋敷にいるという大悪魔のことをよく知っているようで、話してくれるが全くどんな悪魔なのか想像できない。


「・・・これは、魔界の番人様。いらしたのですね」

「ん?おお、ちょうどいいや。あいついるか?」


姿を現したのはやはり悪魔だった。

メイド服を着た女性の物静かそうな印象だ。

どうやら屋敷に仕えているようだ。


「はい、いらっしゃいます」

「そうか、勝手に上がらせてもらうぜー?」

「・・・あの、そちらの方は」


メイドの悪魔はこちらに目をやりガロットに言った。


「ああ、俺様の連れだから、危害とかは加えねーよ。いつものだから、気にすんなー?」

「・・・はい、申し訳ございません。それでは、失礼します」

「おうよ、そうしてくれー」


メイドの姿をした女性の悪魔は、大人しく引き下がってどこかに消えていった。


「悪魔ばかりだな」

「当たり前よー、いくぜー」


ガロットは慣れた足取りでどこかに向かって歩き出した。

俺も後を追った。



「ついたぜ、おーい入るぜー」


といいながらガロットは勝手に扉を開けて入る。

俺も後ろをついていった。


「・・・」


人の家なのに、遠慮も何もない悪魔だ。

それほどの仲なのか、悪魔に人間のような常識が通用しないのかはわからないが。


「いねーのかー?ってやっぱいるじゃねーか。返事くらいしろよなー」

「・・・返事をする前に入るからだ」

「・・・!」


その悪魔は白かった。

驚いて、足が止まる。

思わず、ガロットの後ろに隠れた。

なぜかはわからないが、心臓がぎゅっと掴まれたように苦しくなったのだ。


「・・・」

「・・・おい、ガロット。お前の後ろの・・・それはなんだ?」


白い悪魔は赤い瞳を即座にガロットから動かした。


「お、早速目を付けましたな。お目が高い!っつーわけで、いつもの。お前が必死こいて探してるやつに条件が当てはまる人間だったもんでつれてきちったあ」

「・・・!人間、ガロット今そういったのか!」


白い悪魔は勢いよく椅子から立ち上がった。


「おいおい、勘違いすんじゃねーよ?あくまで魔界で迷子になっていた人間だぜ?それに、俺様がいなけりゃ今頃こいつは死んでたんだぜ?・・・えーと、確か名前はレオとかいったかなぁ?」

「レオ・・・!・・・・・・!」

「ほれ、隠れてねーでお前さんも挨拶してくれよな」


ガロットは横にずれた。


「っておわ・・・ガロットいきなり、・・・は、初めまして。ええと、レオ?です」

「・・・・・・・・・・・・!!!」

「あいつが不死の大悪魔ネビュラ」

「・・・ネビュラ」


その名前を聞いた瞬間胸のもやもやが大きくなった。


「・・・!ああ、アア・・・レオ。本当に、レオなのか・・・あい、会いたかった!ずっと、ずっと探していたんだ・・・あの日、あの日から!!」

「って?!え、ちょ?!」


不死の大悪魔ネビュラは感極まったといった様子で俺を抱きしめてきた。


「あの、え?!」

「おっと、こりゃ驚いたぜー。感動の再開みてーだし、終わるまでちょっと散歩してくるわー」

「が、ガロット?!この状況どう、どうにか?!って、おおい!は、離れろ落ち着け」

「レオ、アア、会いたかった。もう、もういなくならないでくれ!」

「なんで、なんで泣いているんだ?!ちょっと、ええ?!あのー!誰かどうにかしてくれえええええええ!」


初対面の大悪魔に号泣された。

しばらくの間抱きしめられて、泣かれ続けた。

俺は困惑しているしかなかった。

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