第7話 支度に時間がかかるんだな!
(髪の長い女子って、髪の毛セットするだけでもすっげー支度に時間がかかるんだな!)
俺は男だから、髪の毛のセットに時間がかかるなんてことは無い。朝からドライヤーでセットして貰ってる雪の姿を見て、寝癖が付いても、水で濡らせばすぐに元通りになる自分とは 違うんだなと思った。
何故か、ボーッと髪の毛をセットしてる雪を眺めていたが、時間がかかりそうなので、俺は雪を待たずに先に食べ始めることにした。
「ママありがとうね」
「雪は女の子だから身だしなみは大事よ!」
「まだ終わらないの?」
「あと少しよ。はい、お終い!」
「ママありがとう」
☆
「もうお腹ペコペコだよ! お腹空いちゃったー!」
雪がご飯を食べに隣にやってきた。
「ねぇねぇ一輝、私髪の毛長いから、毎朝髪の毛セットしなきゃいけないみたいなんだけど……」くるくるドライヤー何か無縁だったんだけどさ、これからは練習しなきゃいけないよね」
「そうだな……でも、母さんいるから、色々教えて貰えば良いんじゃんか」
「そうなんだけどね」
身支度もご飯も終わると、学校に行く時間になったので、母さんから弁当箱を受け取る。
「ママ、弁当箱が小さいんだけど? 何かいつもと違くない?」
「え、雪が、小さいサイズの弁当箱じゃなきゃ嫌だって言って、これにするって選んだ弁当箱じゃないの。」
「え、そっかぁ、何にも思い出せないけど、私って足りるのかな」
「雪は女の子なんだから足りるじゃないの?」
「あはは、そうだよね! 私女の子だもんね」
「全く、しっかりしてよね」
「ふんふん、大丈夫だってば! あ、そうだっ
たトイレ行ってなかったよお……行かなきゃ」
「雪、ちょっと待って……トイレットペーパ使い切っちゃったから、新しいの持ってくるね」
「大丈夫だってば……すぐ終わるし、いつも使わないじゃん!」
「あらヤダ! 女の子なのに使ってないの? 使わなきゃダメじゃない! すぐトイレットペーパー持ってくるから、終わったらちゃんとお股拭きなさい! 痒くなっても知らないんだからね!」
「えぇー! いちいち拭くの?」
「そうよー! はい、これトイレットペーパーね」
「うぇー」
「何でうぇーなのよ? 全くしっかりしてよね……私の娘なんだから」
雪は昨日まで男だったから、トイレのやり方を知らなかった。今初めて、女の子はトイレのやり方が違うんだと知った。
もしも、トイレットペーパーが切れてなかったらどうしていたんだろうか……俺は……私は……拭かないでいたかもしれない!
しかも、正直トイレの行為全てが恥ずかしくて、緊張してしまい、拭く時直視出来なかったから、ちゃんと拭けたか分からない。とりあえず、鼻血を出さないように必死だった。
✩
「雪、ちゃんと拭いたの? 小さい子じゃないんだから、娘に確認なんか普通しないわよ!」
「う、うん」
「はぁー、もうこれからはちゃんとしなさいね。男の子じゃないんだからね! お嫁に行けなくなるわよ!」
「私まだお嫁に行かないもん!」
「まだ行かないわね……行くのは学校ね。時間は大丈夫?」
「げっ、やばい! 一輝、何で時間教えてくんないの? 早く行くよ」
「雪、待ってくれ……俺いま、寝てた……」
「何でソファーで寝てんのよ! 全くもう!」
雪のトイレ待ちしてあげていたのに、何故か寝てしまったことに怒られた。
(それにしても女ってトイレまで大変だな)
「ママ行ってきます」
「雪、ハンカチとティッシュよ! 忘れないで持っていきなさい!」
「ありがとう!」
「母さん行ってきます」
「一輝はハンカチとティッシュ持った?」
「別に要らねーよ!」
「雪のついでに持ってきてあげたわよ! はい、身だしなみだからね」
「ありがとう……でも、ついでかよ!」
二人はようやく学校へ向かった。
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