第8話 電車を待つため列に並ぶ。

 二人は家を出ると、学校に行く為自転車で駅へと向う。


「あれ、何時もより自転車遅いけど、雪どうかしたの?」


「ちょっと、一輝……私、何か、私パンツ見えそうなの!」


「あ、そういえばスカートだもんな! スカートの中になんか履いてないの?」


「パンツしか履いてないよ。ジャージの長ズボンも、ハーフズボンも学校にあるんだもん」

 

「そっか……遅刻しても俺は大丈夫だぜ! 仕方ないからゆっくりいこうぜ」


「うぅー、ありがとう!」


 ☆


 駐輪場に自転車を停め、少し歩くと駅だ。


 ……駅に到着すると改札口を通り、一輝と雪は、オームに降りて電車が来るのを待つ列に並んだ。


 都内に向かう電車を利用するからでもあるが、この時間帯は、 会社へ向かう社会人と、学校へ行く学生でどうしても混んでいる。


 通学時間帯の混雑が激しいのは仕方ないので、電車が到着すると、二人は混んでいる電車に乗り込む……それも、駅員に押し込まれて何とか乗った。


「うはっ! あれ、雪?」


 何時も通り電車に乗ったが、ゆきが何処にいるのか、全然見つけられない。


(雪は何処にいるんだろう、背が低くなったせいで、全く見つけらんねー! 何時もなら傍におるのにな……)


 毎朝、乗車口の戸袋付近に立ち、窓の外をぼんやり眺めながら、30分程、もみくちゃにされながら学校へと向かうのが恒例行事だっまが、今日は雪とはぐれてしまった。


 一駅先に到着すると、反対側のドアが開き、更に電車に入りたい客が押してくる。


 そのせいで、更に圧縮されるのだが、今日の俺……私は、押された拍子に一輝と離れてしまい、ドアに押し付けられ、上手く息ができなくて苦しい。


 ぼんやり窓の外を眺めながら、苦しさに耐えていると、突然、おしりの方に何か違和感を感じた。


 車内は混んでいるのだから、誰かの鞄でもぶつかったんだろうと思い、気にしないようにしていると、更に違和感を感じる。


 雪が我慢していると、更に、その違和感は、お尻の方に当たるだけでなく、スカートをまくられ、スカートの中に入ってきた手がパンツの中にまで入り、お尻をさわりはじめた。

 

 それなのに、雪は声を出せず、同時に膝がガクガク震えて言葉も出ず、一輝の方へ顔を向けると、「助けて」という視線を必死で送るしかないので、送り続ける。


(……お願い、一輝、私に気づいて……)







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