人はみな武士

椅子に近づいたら椅子が消えた

不思議なことがある

土を被った教科書と

ダブりに見える人の顔

みんなに心がなけりゃいい

僕は本気に願っていた

誰か、本当は優しいんじゃないか

そんなこと思わせないでくれ


トランペットに涙落とすな

自分の進むべき道に迷うな

ゴリラに育てられた男の映画で

鼻をすすりながらハンカチ持つな

大切にしたいと思わせるな


靴がなくても部屋には入れる

不思議なのは僕ではない

いつか後悔して

電車に乗って

会いに来られても困る

許してしまうから

そんな茶番やらすなよ


夏の昼間汗かきながら頑張るな

自分の不安と戦うな

友達を守るためにちょっぴり

犠牲になったりするな

本当は優しいとか見せつけんな


みんなに心がないわけがない

僕は特別ではない

彼らがかわいそうなのは強いからで

僕が悲しいのは弱いからか

ふざけるな

誰もが苦しいとか

誰もが懸命とか

そういう真実を

僕は聴きたくなかったよ





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る